ハイエンド化がカギ
クリスマス前には妻の誕生日と忘年会を兼ねて、寿司の名店「かねさか」が展開する”Shinji”を夫婦で訪れました。カウンター席はカップルごとに1席あけていることに加えて、カウンターにはアクリル板が設置され寿司職人とお客さんとの間が仕切られ、寿司を下にあけられた四角い穴からサーブするという形で感染対策が徹底されていました。
銀座の「かねさか」はミシュラン2つ星を獲得していますが、シンガポールのShinjiは2店共に1つ星を獲得しています。また、他にも”Sushi Kimura”や”Sushi Ichi”が1つ星を獲得し、”Shoukouwa”は2つ星を獲得しています。また、”Shoukouwa”の料理長だった方が独立して今年6月に開店した「寿司煌」も大人気となっており、年末に予約しようとしたところ21年3月末まで全く空いておらず、1日だけランチに空きがあったのでそこを予約して、訪問できる日を楽しみにしています。
Shinjiも個室を含めて満席となっていましたが、ローカルや外国人駐在員など日本人以外のお客さんが過半でした。このように寿司を始め日本食はシンガポールでも大人気となっており、狭い島に閉じ込められて例年以上に活発になってきているシンガポールのハイエンド消費をしっかりと取り込んでいます。
客単価もお酒を含めてこうした高級すし店では1人500シンガポールドル(約3.9万円)を軽く上回り、東京の高級店と同等かそれ以上の金額となっています。シンガポールは上記のように12月28日からようやくフェーズ3に移行しますが、それでもレストランに収容できる人数は定員の7割程度で、さらに1グループの人数も8人が上限となっています。
コロナ前からシンガポールの飲食市場は激戦で、日本から出店しても短期間で撤退するケースも珍しくありませんでしたが、まだまだコロナの影響が続く中で何かとコストもかかる上に顧客数も制限され、うまくハイエンド需要を取り込んでいくことが生き残りのカギとなっていると見ています。
私たちもシンガポールからしばらくは出ることはかなわなさそうなので、その分シンガポールの消費市場の動向を、レストランを中心に自ら体験しながら見極めていきたいと考えています。
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