建物自体が名作アートのキャンバス
ただ、その一見奇抜な建物も単に奇をてらっているわけではなく、展示されているアート作品群とうまく融合していて、キャンバスの役割を果たしていることが分かります。グッゲンハイム美術館を訪れるとまず入り口に設置されている巨大な花でできた子犬の彫像に出迎えられます。
この子犬の像はステンレス製の枠で形作られており、そこに数年ごとに取り換えられる土が収蔵できるようになっていて、写真にあるように生き生きとした花でおおわれています。パンフレットによると中は4階構造になっていて、100以上の配管から水と肥料が出るようになっているそうです。
この巨大なオブジェは金属を用いた彫刻で世界的に著名なジェフ・クーンズの作品で、彼の作品は建物を挟んだ反対側にも設置されていて、そちらはチューリップをカラフルなステンレスで形作ったアートです。また、六本木ヒルズにも同じ作品がありますが、ルイーズ・ブルジョワ作の蜘蛛のオブジェもこのジェフ・クーンズのチューリップの作品の隣に設置されています。こちらは、川に掛かるカラフルな橋とも合わさって、美術館の周辺エリアの非日常感を高めています。
フランク・ゲーリーの建物自体が巨大な金属のファサードでおおわれたデザインとなっていますが、こうして金属を多用する現代アート作品とうまくマッチしています。
館内に入っても1階はリチャード・セラのギャラリーとなっていて、彼の作品も巨大な鉄板を曲線的に捻じ曲げて制作されていて、建物を目にしてから屋外の作品を観覧して、中に入ってからも統一感のある体験となります。
このリチャード・セラの作品は「ダ・ヴィンチ・コード」や「天使と悪魔」で著名なダン・ブラウンの最新作である「オリジン」にも登場して、敵役との息詰まる戦いが繰り広げられる舞台ともなっていますから、実際に目にした後はより光景がイメージしやすいでしょうし、再度この部分を読んでみようと考えています。
2階の展示はタイミングごとに色々な企画が行われていて、私たちが訪れた時はちょうどクラシックカー展で普段こうした美術館では退屈してしまう下の男の子もとても楽しめました。