給料だけではお金持ちなれないメカニズム
ではなぜ事業や投資をしなければお金持ちにはなれないのだろうか?それは経済の基本的な仕組みが、給料をもらうだけでは稼げないように出来ているからである。
何かの事業を行うためには、先行投資が必要である。たとえばラーメン店を開業しようと思ったら、まず場所を借りて内装を整備しなければならない。調理器具を揃える必要もあるし、材料も仕入れなければならない。
中には先行投資ゼロで始められるビジネスというものもあるのだが、それはどちらかというと例外である。
事業には先行投資(資本)が必要不可欠であり、すべてはそこから話が始まる。だからこそ資本主義なのであり、この部分は極めて重要な概念である。
お金を出す人、つまり投資家がいて、初めて事業がスタートするのだから、投資家は事業の主役といってもよい存在である。資本主義の世界において主役であることの意味は大きく、基本的に利益は主役である投資家に還元されるようにできている。まずはこの部分をしっかりと押さえておく必要がある。
次に重要となるのが経営者である。経営者は投資家のお金を使って実際に事業を経営する。先ほどのラーメン店であれば、場所を探したり、店舗の内装を発注したり、従業員を管理するのが経営者の仕事である。
一方、こうした会社で働く従業員は、基本的には時間あたり何円と決められた報酬で働くことになる。従業員は法律で保護されているので、経営者は、気分で給料を払ったり払わなかったりすることはできない。働いた時間分だけしっかり給料を払う義務がある。
資本主義社会の主役である投資家や、投資家と契約関係にある経営者にしてみれば、従業員に対しては、会社が損をしていても給料を支払う義務があるので、できるだけその金額を抑えようとする。ここが重要なポイントである。
従業員は会社の利益に関わらず働いた時間分だけ給料をもらえる権利があるが、その分、金額は大きく抑制されてしまうのだ。このため事業がうまくいって会社がボロ儲けしても、従業員にはお金が回ってこない。還元されるのは投資家と経営者だけということになる。