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ロッテのお家騒動で、再び注目が集まる循環出資構造とは?

会議室

ロッテホールディングスは8月17日、臨時株主総会を開き、現副会長の重光昭夫氏を中心とする経営体制を継続する議案を承認した。ロッテの経営権をめぐっては、創業家内部での争いが続いていたが、今回の総会決議で争いはひとまず終結ということになる。だが、お家騒動の過程で、ロッテグループ内部の複雑な資本関係が明らかになり、韓国では、同社の循環出資構造に対して情報を求める声も上がっている。循環出資構造とはどのようなもので、なぜそういった形態が出来上がるのだろうか。

ロッテは、創業者の重光武雄氏が終戦直後の1948年に設立した会社で、チューインガムの大ヒットによって大手菓子メーカーの一角を占めるまでになった。ロッテはその後、韓国に進出、ホテルや百貨店などを運営する巨大財閥に成長した。韓国ロッテはすでに日本側の10倍以上の規模となっている。

お家騒動のきっかけとなったのは、武雄氏の長男でロッテホールディングス副会長だった重光宏之氏が、今年1月に役職を解任されたことである。宏之氏の解任によって、権限は次男の昭夫氏に移るかに見えたが、解任された宏之氏は父親の武雄氏を巻き込み、全取締役を解任すると通告。会社側は法的手続きを踏んでいないとして、今度は、武雄氏が代表を辞任するという人事を発表した。結局、株主総会では、宏之氏の意向は通らず、昭夫氏を中心とする体制を維持することが決議された。

ロッテは株式会社なので、基本的に持ち株のシェアの高さで会社に対する支配権が決まる。だがロッテグループの資本構成は謎に包まれており、持ち株比率において本当のところ誰が決定権を握っているのか分からない状況にあった。

さらに問題を複雑にしているのは、韓国のロッテグループの存在だ。韓国ロッテグループの中核となっているのはホテルロッテだが、無数のグループ会社が相互に出資する「循環出資」という形態になっている。ホテルロッテに明確な支配権があるわけではなく、しかも、日本のロッテホールディングスはホテルロッテに対して約2割しか出資していない。資本ではなく人の関係で物事が決まってくるため、兄弟の対立を解消することはそう用意なことではない。

加谷珪一

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