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公的年金で21兆円の損失というデマの顛末

21兆5000億円はデマだったのだが、2015年8月に発生した中国ショックにより、年金は8兆円の損失を出している。18兆円近くの利益を上げたあとの8兆円の損失なのでトータルではプラスを維持しているが、今年に入って日経平均は値を下げていることを考えると、損失はさらに拡大する可能性がある。

年金がこうした状況になっているというのは実は何度も報道されているが、ツイッターでこの情報に触れた人の多くは「初めて知った」という印象のようであった。

テレビや新聞のような独占的メディアしかなかった時代には、テレビや新聞で報道されるかどうかがすべてを決めていた。しかし最近はネットの普及で情報チャネルが分散している。ネットにはたくさんの媒体があり、同じネットでも特定の媒体しか見ない人も多い。ある人は何も報道されていないという印象を持つ一方、ある人にとっては当たり前のことだったりする。年金損失のデマが拡散したのも、ネット時代ならではといえるだろう。

新聞

こうした時代に情報収集を行うためにはちょっとしたコツが必要となる。新聞は古臭いメディアと思われており、実際にそうなのだが、情報の網羅性という点では新聞を超える存在はない。新聞は情報をただ垂れ流すだけの報道も多いが、とりあえず新聞を丹念に見ておけば、情報を見落とす心配はほとんどない。ツイッターなどでさも新しそうなイメージで拡散している情報も、よくチェックすると新聞がネタ元だったというケースは多いのが現実だ。

新聞で一次情報を網羅的にチェックし、次に雑誌やネット媒体でその意味を深掘りしていくというステップを踏むことが情報の達人への早道である。新聞記事は、政府などが発表した資料を元に作成されることも多いので、政府のWebサイトを見るクセを付けておくことも重要である。ナマの一次情報を見た方が理解が早いということも少なくない。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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