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マイナス金利で大注目!
絶好調のREITに落とし穴はないのか?

マイナス金利政策の導入によって、REITは現在、ほぼタダ同然のコストで資金を借りることができる。優良な物件を取得できれば、そのまま分配金の増加につながるため、多少価格が上昇しても従来の利回りを維持することが可能となる。現在の価格上昇は、新規物件の取得による分配金の増加もすでに織り込んでいる可能性がある。

確かにREITは魅力的なインカムゲイン商品だが、一方で株式と同様、価格が変動するリスク商品でもある。しかもREITの価格が決まる仕組みは思ったほど単純ではない。このあたりをしっかりと理解しておかないとREITの投資はうまくいかないだろう。

一般的にREITは分配金の利回りで価格が決定されることになるが、不動産価格の動向も価格形成に大きく影響してくる。本来であれば、利回りが低下してしまうと、REIT価格が上昇することはないが、土地の値段がさらに上がるという期待があった場合は、利回りはあまり重視されなくなる。

バブル時代、優良不動産は賃料利回りがマイナスになっても買われ続けた。今の時代において当時のようなバブルが再現される可能性はほぼゼロに近いが、不動産価格というものは、本質的にそういった性質を持っていることについて理解しておいた方がよいだろう。賃料の利回りだけでは価格の指標にはならないのである。

これは安値方向でも同じ事である。現在のREITは3%台という適正な利回り水準だが、リーマンショック直後には優良なREITでも10%の利回りを超えるケースが続出していた。REITが保有する物件の質を考えると、あり得ない数字だが、現実に数年前にはそうしたところまでREITは叩き売られていた。

確かにここからの買いは高値を警戒する水準だが、今のところは、相対的に高い金利が投資家を惹きつける可能性が高い。日銀が追加緩和に踏み切った場合には、REITをさらに買い増しする可能性もある。高値警戒感が意識されながらも、当分の間、REITは好調に推移することになるだろう。

長期的なスタンスで取り組む余裕がある投資家の場合には、ポートフォリオの一部にREITを加えることを検討してみてもよいかもしれない。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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