ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

若者は本当にクルマが嫌いになったのか?

若者 ドライブ画像

近年、若者のクルマ離れが進んでいると言われているが、これを裏付ける調査結果が日本自動車工業会から発表された。クルマに興味を持たない若者が増えているのは事実だが、必ずしもクルマに興味がなくなったわけではなさそうだ。背景には、クルマを買いたくても買えない経済的な問題が大きく影響している可能性が高い。

この調査は同工業会が2年に1度行っているもので、同一項目による定常的な調査と、各回ごとに設定された独自テーマによる調査の二つで構成されている。2015年度にはクルマを保有していない若者向けの調査が実施された。

それによると、クルマを保有していない10~20代の社会人のうち59%が「クルマを買いたくない」あるいは「あまり買いたくない」と回答していた。クルマに関心がないと回答している人も約7割に達しているので、全体的にクルマに対する興味関心が低くなったというのは事実だろう。ただ、クルマそのものに対して本当に興味を失っているのかどうかは、この数字だけでは分からない。

クルマを買いたくない理由の中で多かったのは「クルマを買わなくても生活できる」「駐車場代などで今まで以上にお金がかかる」「自分のお金はクルマ以外に使いたい」の3だった。

クルマを買わなくても生活できるという理由を除くと、クルマそのものに興味がないのではなく、お金がかかることを危惧していることがうかがえる。自分のお金はクルマ以外に使いたいというのも、もっとお金があれば話は別というニュアンスが感じ取れる。「環境に悪い」「乗りたい車がない」といった、自動車そのものに対するネガティブな理由が少ないということを考えると、やはり金銭的な問題が大きいと考えてよいだろう。

近年、クルマの値段が高くなったという話を耳にするケースが多くなってきた。自動車メーカーは、車種やグレードを入れ替えていくので、クルマは同じ条件で比較することが難しい。またオプション込みなどで販売されるので、本体価格がどの程度、上がっているのかも不透明になりがちである。

ただ、このところ軽自動車でも200万円近くする車種が出てきているという現実を考えれば、顧客の購入単価は上がっていると考えた方が自然だろう。

加谷珪一

Return Top