大型スーパーの大量閉店など小売業界には逆風が吹いているが、その中で、大手ディスカウント「ドンキホーテ」の躍進が目立っている。同社が躍進している背景と利益の源泉について探ってみた。
ドンキホーテは2016年6月期の決算で何と27期連続の営業増益を達成した。昨年度は全国で40店舗を新規出店しており、今期も出店計画が目白押しとなっている。一方、総合スーパーは各地で大量閉店が続いており、苦戦を強いられている。実は、ドンキホーテの躍進と総合スーパーの閉店は表裏一体の関係になっている。ドンキホーテは、スーパーが撤退した物件に「居抜き」入居することで、低コストでの出店を実現しており、閉店ラッシュはドンキホーテにとっては追い風なのだ。
居抜きとは、以前、別の事業者が運営していた店舗をそのままの状態で引き取る形態のことを指す。通常、店舗物件は、中に何もない状態で借り、自社の販売手法に合うようコストをかけて内装工事を行う。居抜きの場合にはこれらの費用がかからないので、店舗のコストを大幅に削減できる。
確かに居抜き出店は、コスト的に見れば圧倒的に有利である。しかし、店の内装が以前の事業者のままでは、自社の業態に合わず、思ったような店舗運営ができないリスクがある。居抜きが低コストなことは皆が知っているが、なかなか手が出せないのは、こうしたリスクを警戒しているからだ。
ところがドンキホーテの場合には、逆に売り場の状況に合わせて商品の陳列を変えるといった柔軟な運営が可能となっており、積極的に居抜き物件に入居できる。これが同社の好業績の秘密である。
では同社はなぜ、こうした自由な店舗運営ができるのだろうか。その理由は、同社が独特の商品陳列手法を採用しており、それが収益拡大に寄与しているからである。