100万円以下の作品は減価償却の対象
E:大量生産できないのもアートの価値ですね。では、資産として購入するならどんな作品がオススメですか?
小山:資産として買うにはある程度評価が定まったものですね。プライマリーの価格で2,000万円くらいするもの。たとえば、アンディ・ウォーホルはバブルで値下がりしても、また上昇するんです。リーマンショックで下落してもまた上がったし奇跡的な作家。それは何十億円の世界ですけどね。
国内では村上隆さん、草間彌生さん、奈良さんがいるけど今はとてつもない値段になってるから、海外の大富豪、欧米、中国、中東、ロシアの人が買ってますね。奈良さんはアジア、特に韓国での人気がすごい。そこまで高額のアートじゃなくても、100万円くらいで値上がりしそうな作家を宝探し的に発掘する方法もあります。
昨年から法人が買う場合、1点につき100万円以下のアートは減価償却の対象になりました。これは、若いアーティストの値下がりのリスクを軽減するための措置だから骨董品は対象外。100万円を元手に自分がイイと思った作品、好きな作品を買ってみる。それが10万円になろうが、1億円になろうが、100万円は経費になるんでこれまでよりもチャレンジしやすいですよね。
E:やっぱり「好きな作品に投資する」のが大切なんですね。
小山:株もそうですけど、好きな会社があったらそこの株を買いたくなりますよね。アーティストも同じ。まあ、株と違ってすぐに換金できないから不動産ぐらいの流動性ですけど。この作家がイイと思ったら応援する気分で100万円出してみる。それが急成長のきっかけになるかも知れない。以前は100万円が資産として帳簿に残ったけど、今は経費になる。安いときに買って作品を楽しみながら、作家が成長するのを見守る。昔のジャン=ミシェル・バスキア(※1)だってみんな20~30万円で買っていたものが、今は数千万、億単位。
たとえば、50万円で買った作品が1億円で売れたとします。税金を引かれても数千万は残るから、それでまた若い人たちの絵をたくさん買える。市場の中で動くお金が増えて、次の奈良さん村上さんを見つけようという動きになればいい。
(※1)80年代のニューヨークで活躍したアーティスト。グラフィティ風の作品を数多く手がけた。