アートへの投資を楽しみながら学んでいく本企画。第2回目のインタビューは現代アートに特化したオークションを開催するSBIアートオークション。1,000万円を超える有名作家の作品から10万円台で落札できる若手作家の作品まで、初心者でも参加しやすい幅広いラインナップが魅力だ。二次流通のセカンダリーマーケットであるオークション市場の今について、加賀美令氏・佐藤清香氏のおふたりに話を聞いた。
*2016年に好評いただいた回のアンコール掲載です。
最近は60~70年代の作家が人気
ENRICH(以下E):SBIアートオークションは国内では珍しい、現代アートいわゆるコンテンポラリーアートに特化したオークションなんですね。
加賀美:はい、日本国内にはいくつかのオークションがありますが、コンテンポラリーに特化したオークションは他にありません。以前は他のオークションでもコンテンポラリーを扱っていましたが、リーマンショックの影響でどこも取り扱いを減らすことになりまして。
私たちはオークションをはじめる前からアートディーリング事業に取り組んできて美術品売買の経験があったので、そのタイミングでコンテンポラリーアート専門のオークションをはじめることになったんです。2012年のことですね。
E:どのくらいのペースでオークションを開催しているんですか?
加賀美:年に4回、3ヶ月に1回のペースで開いています。直近では、4月23日に開催される近現代美術オークションがあります。
E:人気作品の傾向を教えてください。
加賀美:やはり、国際的にも評価の定まっている人が売れやすいですね。今だと「具体美術協会(※1)」。60~70年代に活躍した白髪一雄、田中敦子、吉原治良などの作家ですね。
当時もそれなりに知名度はありましたが、あまり売れていなかったようです。最近になってようやく、「具体」の功績の再評価が進み、マーケットでも高い価格がつくようになりました。
佐藤:数年前から海外で日本の戦後美術の展覧会が開かれていて、それも相まって価格も評価も上がってきていますね。
E:そういえば先日、白髪一雄の作品が2億円で落札されたことがニュースになっていました。最近の作家の人気はどうでしょうか?
加賀美:われわれとしては新しい世代も打ち出していきたいのですが、オークションはセカンダリーマーケットなので価値が出るまで時間がかかるんですね。そうするとやはり、過去の作品から評価されていく。海外でもその傾向があって、今は60~70年代の作家が注目されています。
(※1)1954年、兵庫県芦屋市で結成された吉原治良を中心としたグループ。吉原のほか、白髪一雄、元永定正、田中敦子などが代表作家。