アーティスト本人による
貴重な作品説明も

三井氏によるアートセミナーの後は、今津景氏(左)と山本現代の山本裕子オーナー(右)による作品解説。「今津さんの作品は、戦争や被災ですでに失われてしまったり壊されてしまったものをモチーフにしており、考えるきっかけをわれわれに与えてくれます」と山本氏は説明します。
会場でひときわ目立っていたのが、『Repatriation』と名付けられた幅約5メートルに及ぶ巨大な作品。
ギリシャのアクロポリスで発掘されたが、19世紀にイギリスに持ち帰られてしまい現在は大英博物館に所蔵されている数々の遺跡が描かれています。
手前の作品は1945年にナチスが略奪し、ベルリンの空爆によって消失してしまった聖アグネスの肖像画をモチーフにしています。
こちらは興福寺の阿修羅像。今津氏は主にモチーフとなる画像をWeb上で収集しています。
破壊や盗難、流出などでいつ失われるとも限らない文化財であっても、Webであればその姿を見ることができます。人の愚かな行為によって失われた貴重な文化財を残された資料を元に絵画として再構成し、再び自らの手によって破壊する。メッセージ性に富んだ作風が人気の要因といえるでしょう。
今津氏の作品は海外からのオファーも多く、展示前に売れてしまうこともしばしば。本来ならウェイティングリストに登録して買う必要のある作品も、今回のイベントは特別に購入できるのも大きなポイント。ちなみに、現代アートは額縁に入れないのが支流。