著名な企業経営者に「1000万円あったらどんなアートを買う?」という質問をぶつけ、セレクトされた作品が一堂に会するアートフェア「10 MILLIONS」。日本を代表する企業家が「本当に見たい、買いたい作品」を集めた同フェアには、GMOインターネットグループの熊⾕正寿氏やマネックス証券の松本大氏、スマイルズの遠⼭正道氏など、錚々たるメンバーが推薦する作品が出展されている。ビジネスとアートの接点は一体どこにあるのか? 企業家はアートになにを求めているのか? その答えを探る。
企業家のコレクションから
その人の個性が見えてくる
「10 MILLIONS」は、7月29~31日の3日間にわたって二子玉川で開催されたアートフェスティバル「TOKYO ART FLOW 00」内の企画として開催された。「TOKYO ART FLOW 00」は世界水準の文化情報発信をめざし、継続的に発展させることを目的とした新しい形のアートイベントだ。
「ZOZOTOWNの前澤社長がバスキアを62億円で落札したり、GMOの熊谷会長が社内でジュリアン・オピーの作品を展示したり、企業家のコレクターが増えてきています。そういう方々が増えている現状を見て、“経営”と“アート”という視点でアートフェアができないかなと思ったのがきっかけです。7名の経営者にインタビューさせていただいたのは、こういうパターンもああいうパターンもあるというバリエーションを提示したかった」。そう語るのは「10 MILLIONS」の企画を手がける伊藤悠氏。
伊藤氏はアートイベントの企画をはじめ、アーティストと社会を橋渡しする活動を行っている。アートフェア東京という大規模な見本市がある現在、そことは違う視点で新しいアートフェアができないものか。その視点から生まれたのが「10 MILLIONS」だ。
「企業家でありながらアートコレクターとしても有名なGMOの熊谷さん、マネックス証券の松本さんはどのようにアートを取り入れているのか? そこを聞くインタビューからはじまりました。その取材が面白くて、その人らしさがコレクションから見えてくるんです」(伊藤氏)。
「10 MILLIONS」に参加した企業家7名。
・熊谷正寿(GMO インターネット株式会社代表取締役会⻑ 兼社⻑・グループ代表)
・設楽洋(株式会社ビームス代表取締役社⻑)
・諏訪光洋(株式会社ロフトワーク代表取締役社長)
・遠山正道(株式会社スマイルズ代表取締役社⻑)
・中村貞裕(株式会社トランジットジェネラルオフィス代表取締役社⻑)
・野尻佳孝(株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ代表取締役会⻑)
・松本大(マネックス証券株式会社代表取締役会長CEO)
会場では各経営者が推薦する作家の作品とともに、数分のインタビュー映像がモニターで流れている。短い時間だが、各自のアートに対する考え方やスタンス、趣味嗜好が凝縮された内容で見応えは十分。
なお、「10 MILLIONS」の会場に展示されている作品の多くは購入できるのも特徴だ。