ブラック・プレミアムクラスを中心に、ポイ探の菊地崇仁氏が、クレジットカードの隠された使い方や機能を探っていく本企画。プライベートやビジネスに何かと身近な存在だからこそ、本当の価値を知り、使いこなしていただきたいというのが目的だ。
5月は外資系エアラインで付加価値の高いカードを取り上げてきたが、締めくくりとなる今回は、効率的なマイルの使い方に関して話は及んだ。(1/3回・2/3回を見る )
思わぬカードがマイルにつながることも
ANAやJAL、外資系…いずれにしろ、航空系のカードを持つ目的はマイルに集約されます。フライトマイルはもちろん、カード利用でもマイルが付与されるわけですから、各社が発行する提携カードは魅力的といえます。
前回に紹介したセゾンプラチナ・アメックスのように、エアライン系のカードではないのに本家JALカードよりもマイルが貯めやすいというカードもあります。「普段それほど航空利用はないが、たまに豪華な旅行がしたい」「幅広い付帯サービスを利用したい」というのであれば、こういったカードも便利かもしれません。
そもそも、近年はクレジットカードのポイントプログラムは充実の一途で、貯まったモノを幅広く他ポイントへ移行でき、それには航空各社にマイルも含まれます。例えば、「MUFGカード・プラチナ・アメックス」のマイレージプログラムであれば、同カード利用で付与されるグローバルポイントを、JAL、シンガポール航空、デルタ航空、大韓航空のマイルに移行が可能。以降の際には、参加年会費3000円+消費税と移行手数料6000円+消費税/1回といったコストがかかり、1回あたりで移行できるポイント数に上限も設けられますが、JALマイルであれば、1ポイント⇒8マイルのレートで変えられます。前回に取り上げたアメックス・プラチナと同じく、コストはかかるものの、高い還元率が実現しますから、こういったカードでポイント⇒マイルという流れを作ることもできるのです。
マイルの賢い使いかた
一方、貯まったマイルの使い道ですが、基本的には次のようなことが挙げられます。
●国内・国際特典航空券に利用
●提携航空会社の特典航空券に利用
●座席のアップグレード
●搭乗クーポンに交換
●宿泊や食事に利用
●商品などに交換
●提携ポイントへの移行
もっともメジャーな利用法は、国内・国際線特典航空券ではないでしょうか。ただし、気をつけたいのは、使う時期。必要マイルはレギュラーシーズンに対してハイシーズンは多くなり、ローシーズンは少なくなるというのはご存知の通りですが、単純に消費マイルを減らしたいのなら、ローシーズンがお勧めということになります。ただし、閑散期はチケット自体もロープライスで、せっかく貯めたマイルを使うより、キャッシュで購入したほうがいいという考えもあります。
対して繁忙期は必要マイルが多いことから、マイラーに敬遠されがちなシーズン。ただし一方で、それにより限られた特典航空券枠を押さえやすくなるという側面もあるようです。買う時期にもより異なりますが、ハイシーズンの航空チケット価格は高く、むしろ特典航空券を利用することで、1マイル当たりの価値を最大化できるという見方もあります。よって、マイルの価値を重視するなら繁忙期、それよりも消費マイルが気になるなら閑散期を狙うというのが良さそうです。
賢い使い方として提案したいのは、クーポンに交換することです。ANAなら「ANAスカイコイン」、JALなら「e JALポイント」が該当し、これらは航空券の購入に利用することができます。
例えば所有するマイルに有効期限が近付いてきたとき。クーポンの有効期限は約1年間なので、交換すればマイル失効を防ぐことができ、さらに猶予も与えられます。
また、マイルを特典航空券に交換しても、マイル付与や搭乗実績にはなりませんが、クーポンの場合は対象になるのもポイント。上級会員資格を狙っている、あるいは維持したい人にとっては、特典航空券よりも、一度クーポンに換えてから航空券の購入に充てたほうが実績につながるので、メリットがあるのです。
いずれにしろ、マイルは現金と同等の価値を持つポイントで、しかも通常は3年間の有効期限もあります。ブラック・プレミアム系カードの場合、カードポイントの段階では期限が無期限になるケースも多いので、むやみにマイルに移行しないで、使い道が決まってからというように、タイミングを計ることも求められます。計画的に使っていきましょう。
利用する時期によっては、価値が上下するマイル。だからこそ、上手に利用していきたい。
本ページでは3ヵ月に渡りエアライン系のカードについて掘り下げてきたが、いかがだろうか。次回からも、ビジネスやプライベートで付加価値の高いカードや利用手段について触れていこう。
海外へ行く機会が多いなら、ANAやJALカードにこだわる必要はない。ここで紹介した選択肢もあるということだ。続く中編では、さらに使い勝手に優れたエアライン系のカードを取り上げるので、さらに幅広い視野を養っていただけると幸いだ。
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