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海外発行のプレミアム系カード 3/3

ブラック・プレミアムクラスを中心に、ポイ探の菊地崇仁氏が、クレジットカードの隠された使い方や機能を探っていく本企画。3月最後は、日本では発行されていない、海外でのみホルダーになれる、プレミアム系カードをいくつか紹介しよう。

エンリッチ プレミアムカード3 

日本だけではない。海外でも
プレミアム系カードは百花繚乱

日本国内であれば、「アメックス・プラチナ」や、「ダイナースクラブ プレミアムカード」「JCBザ・クラス」といったカードが発行されていて、他にもカード各社が国際ブランドと提携した、独自のプレミアム系カードが多数見受けられます。

ところが、こういったカードの多くは日本国内のみで発行され、日本に国籍や住居を持たない外国人が持つことは、ほぼありません。それは海外でも同様で、我々日本人は簡単にホルダーになることができない、プレミアム系のカードがリリースされています。今回は、そういったなかから、私の記憶に残るカードをいくつか紹介しましょう。

【LUXURY CARD(ラグジュアリーカード)】

「LUXURY CARD」は、英ロンドンに本拠地を構える国際金融グループ、バークレイズの関連銀行のひとつでアメリカにある「バークレイズ・バンク・デラウェア」が発行するプレミアム系カード。3種類あり、最上位が「ゴールド」、続いて「ブラック」「チタン」となります。日本だと逆のような印象を受けますが、アメリカでは異なるようです。なお、ゴールドカードは純金メッキとカーボン、ブラックとチタンはステンレスとカーボンで作られています。年会費はゴールド995ドル、ブラック495ドル、チタン195ドルですから、プレミアム系カードにしては、さほど高額ではありません。

驚きなのは、国際ブランドのステイタスです。同カードはMasterCardを採用していますが、すべてのカードのランクは「WORLD ELITE」。MasterCardでは、一般、ゴールド、チタン、プラチナ、ワールドというカードランクがあり、日本だと「SBIワールドカード」が最上位。WORLD ELITEはその上をいくカードで、日本では発行されていません。海外、ことアメリカには、さらに上をいく富裕層がいますから、そういった方が対象なのでしょうか。

【Visa Infinite Exclusive (ビザインフィニットエクスクルーシブ)】

ロシアの銀行が発行しているプレミアム系カードで、驚くべきはカードフェイス。なんと、純金とダイヤモンドがあしらわれていて、ホルダーになるためには、銀行の口座預金とカード作成料を合わせて、1000万円近く支払わなければいけないそうです。国際ブランドはVisaで、最上位のインフィニットが冠されています。

なお、このカードにはICチップも磁気ストライプもなく、決済用に別のカードが用意されるとか。ここまでくると、ステイタスを満たすためだけのカードといえそうです。

【Dubai First Royale Card(ドバイ ファースト ロワイヤル カード)】

「ドバイ・ファースト」という、ローンやクレジットカードを発行する会社によるプレミアム系カードで、国際ブランドは、MasterCardのワールドです。これも意匠に凝っていて、カードの周囲にはダイヤモンドが散りばめられ、中央にもラグジュアリーさを主張するように、ダイヤが埋め込まれています。
最大の特徴は「どんなチケットでも入手する」ということ。完売済みのチケットでも手配するそうで、むしろどうやって実現するのか、こちらが心配になるほどです。

【HSBCプレミア】

香港に拠点を持つ、HSBC香港上海銀行で、金融資産100万香港ドルを持つ顧客を対象に提供する総合サービス「HSBCプレミア」が発行するプレミアム系カードです。国際ブランドはMasterCardのワールドになります。なお、HSBCプレミアではひとつプレミア口座を開くと、香港だけではなく、シンガポールやマレーシアなど、世界各国のHSBCで、口座残高に関わらず維持手数料無料のプレミア口座を比較的開きやすくなり、グローバルに資産管理・運用ができるようになります。

ここで挙げた以外にも、JPモルガンにプライベートバンクを開き、数十億円以上の資産を持つ顧客を対象にした「JPモルガン パラジウムカード」は、その名の通り、カード材質にレアメタルのパラジウムを使った1枚。アメックスでは「アメックス・クリスタル」と呼ばれる、上位カードがあったというウワサもあります。

ただし、これらカードは、付帯特典が際立つというわけではなく、日本でいうところの、アメックスと提携した年会費がリーズナブルなプレミアム系カードと変わらない水準だそうです。ホルダーになること自体が目的であり、彼らのような存在になると、付帯特典の内容は気にならないのかもしれません。むしろ、日本におけるサービスは外国に比べると過剰な印象も受けます。

このように、海外では銀行が中心となり、上級顧客向けにプレミアム系カードを発行するのが一般的なようです。よって、ホルダーになるには口座開設がマストですし、預金残高もそれなりの水準が求められます。「現地で資産運用をしたい」「日本では扱うことができない金融商品にアクセスしたい」なら、これら金融機関に口座を持ち、カードホルダーになることもできるかもしれません。

最後にこぼれ話ですが、国内外でお馴染みのダイナースクラブカードですが、古いカードと新しいカードを比べると、ロゴの形が変わっているのをご存知でしょうか。初代から2代目、3代目と追うごとに、ロゴ右部の青色の陰影部分が小さくなっているのです。初代から2代目に変更する時はアナウンスがあったのですが、いまの形になる際は、それはなかったように覚えています。2014年10月から翌年7月の間に変更したようですが、15年2月にはシティカード売却の話も出ていたので、その影響で変えたのではないかと推察しています。

エンリッチ ダイナース アイコン 3

新旧のカードを見比べたり、カードフェイスをじっくり見ることはあまりないので気付かないでしょうが、サービス内容だけではなく、カードには、こういった変化もあるようです。

 
ーーー日本ではお目にかかれない、海外発行のプレミアム系カード。実用的というよりは、所有欲を満たすために持つホルダーが多いようだが、サービス内容やコストについて、はっきりとした情報があるわけではない。見る機会があるとしたら、それだけでもラッキーなのかもしれない。エンリッチの読者なら、ホルダーを目指してみるのもいいだろう。

菊地宗仁_300

菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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