なぜ、こういったカードを新たに作ったのか。私は、三越伊勢丹グループがTポイントの付与・利用サービスを今年3月末で打ち切ったことが関係していると考えています。同グループは新規顧客の獲得・顧客データの有効利用を目的にTポイントを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブと三越伊勢丹Tマーケティングを設立しましたが、提携契約を解消。要は、思ったほどの導入効果はなかったということです。
しかしながら、百貨店にとっては気軽に来店しショッピングをしてくれる、ライトユーザーの獲得も大きな課題です。本来はTポイントユーザーにそういった役割を期待していたのでしょう。そこで今後は、実質無料で持てる「エムアイカード〈スタンダード〉」を新たに発行することで、気軽にポイントを貯め・使うユーザーを増やしたいという狙いなのだと思います。
それを実証すべく、エムアイポイントの活用シーンも拡がっています。これまではJALやANAのマイル、JTBや電力・ガス会社のポイントとの交換のみが可能でしたが、今後はニトリ、スタバ、東京ガス、中部電力、一休.comといった多様な業界の企業のポイント交換ができるようになりました。イオンに関しては今夏頃にポイントの相互交換を予定していて、福岡天神地区では専用ポイント券に交換できるなど地域に密着した取り組みも始めるようです。
このように、プレミアム系クレジットカードの新規発行、既存カードの拡充、ポイントの利便性向上など、幅広い施策を打ち出したエムアイカード。カード事業を成長させグループシナジーにつなげたいという考えがわかります。
ーーー本気度が伺える、三越伊勢丹グループのカード事業への取り組み。次回は他社の動向をお伝えしよう。