ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントの付加価値を見出す本連載。今回は「キャッシュレス決済」のうち、最新のコード決済サービスをいくつか取り上げよう。(1/3から読む)
消費税増税に伴い
ポイント還元施策がスタート
皆さんもご存知の通り、日本の財政は火の車。少子高齢化に伴い社会保障費の増大はとどまることを知りません。政府は十分な予算を確保するため、今年10月から消費税を8%から10%に引き上げる予定です。
そして、消費税増税に合わせて9か月間の期間限定で検討されているのが、キャッシュレス決済を使った消費者に対するポイント還元。クレジットカードや電子マネー、コード決済が対象で、中小の小売、飲食、宿泊サービスの場合は5%還元、コンビニや外食など大手系列のチェーン店は2%還元、百貨店や病院など一部業種は対象外になる見通しです。
ポイント還元の対象事業者は、JCBや三菱UFJニコス、三井住友カードといったクレジットカード陣営、Suica、nanaco、WAON、楽天Edyの電子マネー、コード決済のOrigami Pay、LINE Pay、PayPayなどが内定しているようで、経済産業省は3月6日から15日かけて決済事業者の第1次募集を実施、4月以降も順次追加募集する予定で、同月からは小売りなどの加盟店の募集も始めます。
背景にあるのは、増税による買い控えへの対策でしょう。ポイントを付与することで増税分を相殺するばかりか、5%還元なら実質的な値引きになります。なんと、軽減税率の対象である食料品にも、同水準のポイントが付与されるというから驚きです。
もうひとつは、遅々として進まないキャッシュレス化の推進が挙げられます。日本は比較的治安が良く、鋳造技術が高いことか偽造も難しいので現金が大量に流通、現金主義の人が多いことでも知られています。キャッスレス決済比率は約20%と、韓国の90%、中国の60%、イギリスの54%、アメリカの45%など、他の国に比べるとその割合は低く、政府は40%まで引き上げる目標を掲げているほど。今回のような大胆な施策は、キャッスレス社会の実現を加速させたいという、政府の思惑が見え隠れします。お得だとなれば消費者の利用は進み、いままでは導入に否定的だった小規模店舗も5%還元は集客の武器になりますから、対策を講じる可能性は高いでしょう。