ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

2020年 年始特別編 2/3

ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントの付加価値を見出す本連載。今月は新年特別編をお届けしている。(1/3から読む)ーーー

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コード決済にプラチナ版が登場
差別化が進んでいく可能性も

かつて、ポイント業界では大きな再編が起きました。2012年6月に、ヤフーは楽天の楽天スーパーポイントに対抗するため、Yahoo!ポイントを廃止してCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が運営するTポイントに統合。これをきっかけに、JAL派のYahoo!ポイントとANA派のTポイントがつながり、一気にポイント業界の再編が進みました。14年にはドコモがANAとのマイル提携からJALマイルとの相互交換に切り替え、同年5月にはauポイントがau WALLETポイントに。7月にはソフトバンクがポイントをTポイントに統合しています。16年にはJR東日本のグループ共通ポイントのJRE POINTが生まれ、後にSuicaポイントとビューサンクスポイントも統一化しました。紆余曲折を経て、いまは楽天、CCC+ヤフー+ソフトバンク、さらにPonta陣営のリクルート+ロイヤリティ・マーケティング(Pontaの運営元)、JR東日本、LINEをはじめとする他社という構造になっています。そして今回、ZホールディングスとLINEの経営統合で、新たな動きが起きようとしているわけです。

ヤフーとCCCの提携でポイントの再編が一気に進んだわけですが、両社の関係には変化が訪れようとしています。PayPayが始まったことでヤフー系のサービスはTポイントではなくPayPayボーナスにシフトしつつあり、今後はその関係に終止符が打たれる可能性はゼロでありません。というのも、両社の関係はあくまで提携であり、それぞれが似たようなサービスを展開しているからです。旅行サービスではYahoo!トラベルとTトラベル、クレジットカードでもYahoo! JAPANカードとTカード プラスといった具合です。

ところが、ZホールディングスとLINEの場合は経営統合ですから、そういったことは起きにくいのではないでしょうか。競合するサービスも統合すれば混乱は起きません。PayPayとLINE Pay、TポイントとLINEポイントが一本化されると消費者も混乱しないでしょう。ただし、ポイントが切り替わると、今後発行予定のVisa LINE Payカードの話は立ち消えになるかも。他方、競合サービスを統合しないケースもあり、そうするとバッティングが起きて、ヤフーとCCCのような事態に陥る可能性もあります。

コード決済業界の再編という点で気になることもあります。それは、LINEとメルカリが立ち上げたMoPA(Mobile Payment Alliance)の存在です。これは、それぞれのコードをそれぞれのアプリで決済できるようにする提携で、メルペイ加盟店のコードをLINE Payで読み取り決済ができる仕組みをさします。同アライアンスにはドコモのd払い、KDDIのau PAYも参画していて、この構図はPayPayに対抗するものだと考えられます。楽天ペイはau PAYと組んでいるので、どちらかというとMoPAです。ところが、ZホールディングスとLINEが経営統合すればPayPayとLINE PAYが手を結ぶわけですから、当初の目論見から大きく外れることに……。これを機にアライアンスは見直され、業界再編が加速する可能性があります。まだ明確な話ではなくどうなるのか先行き不透明ですが、今後も注視していきたいと思います。

菊地崇仁

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