ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントの付加価値を見出す本連載。3月は「東京競馬場 馬主体験ツアー」をレポートしているが、最後のエントリーでは馬主の魅力を解説する。(1/3から読む)ーーー
馬主には多様な特典があり
活動に伴い収入も期待できる
競走馬は、3種類の市場を通じて購入することができます。
■競走馬を購入する市場
・当歳(0歳)市場:2歳の競走馬デビューまで時間的なリスクはあるが、高資質馬を早く手に入れるのに向いたセリ。夏に開催
・1歳市場:高資質馬から手ごろな価格帯の馬までが幅広く検討できる。上場頭数が最も多く、夏から秋にかけて開催
・2歳市場:調教の進んだ2歳馬を扱う。セリに先立ち公開調教が実施され、実際の動きを見てから参加できる。春に開催
セリは北海道を中心に全国で開催され、売り主である生産者と飼い主である馬主との交渉
で値段が決まります。それこそ、血統がよければ高額というわけです。
競走馬を購入すると、調教師と預託契約を結び、JRAの美浦・栗東トレーニング・センターに入厩させ、騎手に騎乗も依頼。調教師は馬を調教・管理し、騎手は調教師の依頼で調教試乗も行うようです。
また、競走馬には馬名の登録が必要で、馬名は2~9文字のカタカナにするのが決まり。JRAのレースに出走させるには、JRAの競走馬としての登録が求められます。定められた色・模様の中からレースで騎手が着用する服色も登録します。
気になるのは馬主活動に伴う収入と支出です。IRAのレースで馬主が得られる賞金などには「本賞」と「出走奨励金」「特別出走手当」などがあります。
■馬主活動により得られる収入
・本賞:いわゆる賞金。1着から5着までの馬が対象
・出走奨励金:6着~8着まで(重賞競走は10着)が対象。1着本賞に所定の比率を乗じた金額が支払われる
・特別出走手当:全出走馬に対して、着順に関わらず支払われる
例えば本賞。第1着本賞(重賞競走を除く)の賞金は、平地や障害、年齢で変わりますが、平地3歳の特別競走だと2000万円! 2着~5着は第1着本賞(100%)の40%、25%、15%、10%になっています。特別出走奨励金は、3(4)歳以上のG1で150万円(高松宮記念など)もしくは200万円(天皇賞など)、特別出走手当は競争により42万1000円~44万2000の幅で交付される仕組み。他にも、様々な賞金・交付制度があるようです。なお、2018年にJRAから馬主に賞金などとして支払われた額は約809億円で、この年にJRAに出走したのは1万1197頭。1頭の年間収入は約723万円だったとのこと。
他方、馬主活動に伴う支出ですが、まずは競走馬の価格。2018年度のサラブレッド1歳市場のデータを見ると、平均価格1043万円、中間価格435万円、最高価格2億9160万円でした。馬の飼養管理(飼料代、飼育・調教師費用など)として支払う預託量は厩舎により異なりますが、1頭1カ月当たり60万~70万円ほどです。
ここからわかるのは、収入と支出を照らし合わせると、プラスになるケースが多いということです。名馬だと億単位を稼ぐのもうなずける話ではないでしょうか。
なお、JRAでは新たな馬主に対して競馬観戦会やトレーニング・センターの見学会、馬の見方やセリなどについてのレクチャーなど、サポートを提供。馬主には、次のような特典もあります。
■馬主の特典・楽しみ
・各競馬場にある馬主専用観戦席
・馬主専用駐車場の利用
・競馬場への無料入場
・愛馬出走時のパドック馬主エリアへの入場
・ウイナーズサークルでの記念写真
・美浦・栗東トレーニング・センターへの入場
・同所近くの馬主専用宿泊施設の利用