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新たなポイント還元事業「マイナポイント」とは? 1/3

そもそも、キャッシュレス・ポイント還元事業は、消費増税による消費のテコ入れやキャッシュレス決済の普及だけではなく、これをきっかけに中小零細事業者へ決済端末を行き渡らすのも目的だったのでは。そうすることで、オリンピック・パラリンピック期間中に増加するインバウンドのキャッシュレス決済ニーズに対応するはずでした。そして、五輪が終わると国内の消費が落ち込むので、マイナポイント事業で再び消費を喚起するというのが、当初のシナリオだったと思います。要は、昨年10月からキャッシュレス・ポイント還元事業~東京2020~マイナポイントの3本立ての流れがあったわけですが、真ん中の肝心のイベントがなくなり、空白が生まれたわけです。コロナ禍で国内の消費も大きく落ち込んだのでキャッシュレス・ポイント還元事業が延長するかもしれないと思っていましたがそれはなく、当初の予定通り6月末で終了しました。

ちなみに、総務省が6月に発表した家計調査によると、4月における2人以上世帯の消費支出は26万7922円と、物価変動の影響を除く実質で前年同月比11.1%減。確認できる1986年までさかのぼっても、これまでの落ち込みはなく、外出自粛が大きく響いた格好です。細かく見ると、パック旅行費は97.1%減、外食67.0%減、遊園地入場・乗り物代97.8%減、宿泊料94.7%減、映画・映画等入場料92.7%減というありさまで、交通関係だと航空94.5%減、鉄道89.9%減、バス71.5%減、タクシー69.8%減でした。政府は新型コロナ後の観光産業を支援する「Go To Travelキャンペーン」を実施しますが、詳細が待たれます。

ーーー新型コロナで大きく落ち込んで国内経済。消費の低迷は深刻で、そうした面でもマイナポイント事業には大きく期待したいところ。次回は同プロジェクトの詳細を解説しよう。

菊地宗仁_300

菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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