ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回は、LCC系のクレジットカードを取り上げよう。(1/3から読む)ーーー
新型コロナウイルスで航空業界は大打撃
LCC系のエアアジアは日本から撤退
新型コロナウイルスでは、航空業界も痛手を被りました。米デルタ航空の場合、6~9月の業績は53億7900万ドル(約5600億円)の最終赤字。3四半期連続で赤字を計上しました。同社以外のアメリカン航空やユナイテッド航空などの米系エアラインも経営は悪化していて、いったんは政府の支援を受けましたが、それが途切れたため、10月以降は追加のリストラに迫られています。香港のキャセイパシフィック航空も10月21日に、全従業員の24%にあたる8500人の削減案を発表しました。ANAとJALの日系エアラインは、Go Toトラベルが追い風となり国内線の予約は改善していますが、当然ながら苦境から脱することはできていません。
ANAは来春予定の大学生など8割弱の採用を中止し、社員の基本給の引き下げ、冬のボーナスをゼロにすることも労働組合に提案。今年の年収は3割減すると言われています。2021年3月期は過去最大の、5300億円の赤字を見込むほどです。JALの今年4~6月期の決算は、純損益が937億円の赤字と、経営破綻前の09年4~6月期の純損益990億円の赤字に匹敵する規模でした。まだ予断を許さない状況です。
LCCも同様です。マレーシア系のエアアジア傘下で中部国際空港を拠点すとするエアアジア・ジャパンは、12月5日で国内4路線を廃止すると10月に発表しましたが、その後、11月17日には破産手続きを申し立てることに。英イージージェットは約1100億円の通年赤字になる見通しを明らかにしました。JALが出資するジェットスター・ジャパンは6月期決算で77億円の赤字になり、国内路線のうち6路線を10月末から3月末まで運休します。こうしたことを受け、国は航空会社が負担する空港使用料について、今年8月分以降の支払いを45%減額することを明らかにしました。
航空業界の状況を見渡すと、大手だけではなく、薄利多売がビジネスモデルのLCCの苦境は際立ちます。今後は撤退や再編が進むかもしれません。一方、LCCは地方空港を拠点にしていて、そうしたエリアにビジネスやプライベートで出かける機会が多い人にとって、重宝する便であることは確かです。現在は、大手LCCの多くが独自のクレジットカードも発行していて、持っておいて決して悪くありません。
例えば、今年2月から発行が始まった、「ジェットスターカード」(年会費980円)は、国内・海外の旅行傷害保険が付帯していて、割引や特典が受けられる、年会費3980年の会員プログラム「Club Jetstar」の特典が1年間利用できます。また、カード利用200円で1ポイントがたまり、2000ポイントでClub Jetstar年会費相当のClub Jetstarバウチャー、5000ポイントで8000円相当のフライトバウチャーと交換ができます。
peachによる「peach CARD」はVisa、Mastercard、JCBから国際ブランドを選ぶことができ、カード会員限定の航空券セール、入会時にピーチポイントの進呈といった特典を付与。カード利用でポイントがたまり(VisaはVポイント、JCBはOki Dokiポイント)、たまったポイントはピーチポイントやANAマイルに交換できます。ピーチポイントはマイルのようなもので、ピーチ航空券の運賃、手荷物料金、座席指定料金などに充てることが可能です。他にも、カード定時で機内食10%割引、指定の空港店舗の割引などの特典も用意されています。
こうしたクレジットカードは、エアドゥやソラシドエアからも出ていて、カード利用でマイル(ポイント)の付与、指定店舗での割引、ホテルやレストランでも優待もあります。どのカードも年会費は安く、持っていて負担になりません。定期的にLCCを利用するなら、保有を検討しても良いでしょう。
*2020年11月16日掲載