日本は少子高齢化や人口減の影響を受け、労働市場の人手不足が顕著です。そのために外国人労働者の受け入れも徐々に進んでいますが、そのための金融インフラの整備は急務です。厚生労働省は現金手渡しや給与振り込みではなく、スマートフォンの決済アプリや電子マネーで給与を受け取ることができる「給与のデジタル払い」を2021年度中に制度化したいと考えています。
この取り組みは、「キャッシュレスで生活しているので便利」「ATMを利用しないで済む」といったメリットがありますが、「家賃や公共料金は引き落としや振り込みで払うので困る」「安全性で不安」「アプリ決済に対応しない支払いがある」といったデメリットもたくさん。おそらく無料になるでしょうが、電子マネーから銀行口座に出金する際の手数料はどうするのかといった課題もあります。企業は銀行振り込みをしないでよくなり手数料負担が軽くなりますが、全額を電子マネーで払うのか、銀行口座と振り分けるのかなど、業務は煩雑になりそうです。
ただし、銀行口座を持たない外国人労働者にとって、電子マネーで給与を受け取れると便利ですし、実際にニーズはあるはずです。おそらく、こういった分野や日払いのアルバイト、お小遣いサイトなど少額の金銭をやりとりする分野では普及が進むかもしれません。
ちなみに、法定通貨と異なり低コストでスピーディな海外送金ができることから、外国人労働者にはビットコインなど暗号資産も人気です。しかしながら、日本で働く外国人が増え母国に対する送金ニーズが伸びるなら、電子マネーを活用した手段など、さらなる整備が求められます。
一方、暗号資産関連ではメルカリが暗号資産関連事業への参入を発表したり、楽天ペイメントと楽天ウォレットは、ビットコインやイーサリアム、ビットコインキャッシュを楽天キャッシュにチャージできるサービスを始めています。まだまだ法整備は必要ですが、暗号資産を活用できるシーンも増えているので、日本人のなかでも保有や利用が拡大していくかもしれません。