ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今月は新たに始まったクレジットカードのポイントプログラムやサービス改定を中心に情報をお届けする。−−−
エンリッチ読者の皆さま、ポイ探の菊地です。前回は、「LUXURY CARD(ラグジュアリーカード)」の「Mastercard Black Diamond」(ブラックダイヤモンド)」について取り上げました。同カードは入会金と初年度年会費で110万円という、他に類を見ないプレミアム系のクレジットカードですが、大手エアライン国際線特典航空券の日本-ハワイ便往復ビジネスクラスに相当するマイルの進呈や、ハイブランド通販サービス「GILT(ギルト)」による年2回の15万円相当のギフトなど、付加価値の高い特典を用意しているのが特徴です。ラグジュアリーカードといえば、税金などの支払いでもポイント付与率が変わらないこともあり、経営者層から人気の高いカード。ブラックダイヤモンドも支持を得るかどうか注目したいところです。今後、新たな情報があれば取り上げたいと思います。
二親等以内の本会員同士がつながると
ポイント還元率が最大で+5%
今回、最初に紹介するのは、三井住友カードが始めた「家族ポイント」についてです。これは、二親等以内の家族を対象にしたサービスで、本会員同士がつながることでポイント還元率が最大で+5%になります。
従来、家族向けのクレジットカードのサービスといえば、生計を共にする配偶者・満18歳以上の子ども、両親など「一親等以内」の家族を対象とした「家族カード」が知られています。本会員のカードに紐づける形で発行すると、同等(もしくはそれに近い)ポイントプログラムや付帯特典が適用され、カード年会費もお得になる、本会員と家族会員でポイントを移行・合算できるといったサービスが用意されているのは、ご存じの通りです。
一方、「家族ポイント」は生計の同一性を問わず、本人・配偶者の兄弟姉妹、祖父母、孫やその配偶者など二親等以内の家族を対象にしていて、本会員同士をつなぐという内容。会員向けのWebサービス「Vpass」上で代表者が対象者を招待し、これを承諾すると家族登録ができ、最大で9名(本人を含めると合計10名)がつながることができます。
具体的な特典は、コンビニ三社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)とマクドナルドを利用すると、登録している家族の人数に応じて最大+5%のVポイントを還元するというもの。例えば、代表者を軸に1人つなぐと+1%、5人以上だと+5%になります。1か月あたりのポイント付与上限は1カード当たり5万ポイントです。
既存のサービスと組み合わせると、さらにポイント還元率がアップするのも「家族ポイント」の
メリットです。例えば「三井住友カード(NL・CL)」の場合、通常の0.5%に加えて、コンビニ三社・マクドナルドの利用で+2%、タッチ決済の利用で+2.5%と計5%のポイント還元率ですが、これに家族ポイントが加わると最大+5%になり、マックス10%のポイントが付与されます。利用場所は限定されますが、他では見られない水準といえるでしょう。
家族の登録は一度きりではなく、あとからも追加できます。コンビニやマクドナルドの利用が多い若年世代の夫婦がカードを持ち、自分たちの両親にもカードを持ってもらうなど、家族の輪を広げることでお得にポイントが得られるので、三井住友カードのユーザーにとって損はありません。カード会社の視点に立つと、ユニークな囲い込みの戦略といえます。同カードには年会費無料のカードもがあり、「三井住友カード プラチナ」や「三井住友カード プラチナプリファード」など、プレミアム系のプロパーカードも対象になっているので、会員増に寄与するかもしれません。
−−−生計を共にしない家族も対象になる、三井住友カードの「家族ポイント」は核家族が増えた、現在のライフスタイルにあったサービスといえるだろう。次回以降は、プレミアム系クレジットカードを中心に、サービス改定について触れていく。