ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今月最後は、百貨店による銀行業参入に伴う積立サービスについて取り上げる。(1/3から読む)−−−
老舗百貨店が銀行業に参入
友の会をスマホで提供開始
現在はコンビニなど、さまざまな業種が銀行業に参入していますが、今年6月からは住信SBIネット銀行と老舗百貨店の高島屋が「高島屋NEOBANK(ネオバンク)」を始めました。ネオバンク自体は、銀行免許を持たない企業と銀行免許を持つ住信SBIネット銀行が提携し、デジタルバンクのサービスを提供するもので、これまでのJALやTマネーなどが銀行業を始めています。
高島屋NEOBANKは専用のアプリをダウンロードして口座を開設すると、預金や決済、融資などの銀行サービスを利用することが可能。キャッシュカードは不要で、スマホアプリを使いATMを利用できます。ATM手数料は引き出し・預入合わせて月5回無料、振込手数料も月5回まで無料です。
こういった入出金などの銀行サービスに加え、百貨店の積立サービスである「タカシマヤ友の会〈ローズサークル〉」を「髙島屋のスゴイ積立(スゴ積み)」として、スマホアプリで利用できるのも、高島屋NEOBANKの特徴です。
髙島屋に限らず、百貨店の「友の会」といえば、ミドル世代以上は認知しているサービス。簡単に言うと会員制の積立サービスのことで、毎月決めた金額を積み立て満期になるとボーナス分を加算した金額のお買物券を受け取れます。いまも大手百貨店の多くが実施していて、髙島屋の場合その名称が「タカシマヤ友の会〈ローズサークル〉」というわけです。ただし、高島屋NEOBANKは若年層や普段はあまり百貨店を使わない層を顧客として想定していて、「友の会」自体を知らない人もたくさんいるはず。親しみやすさを狙って「「髙島屋のスゴイ積立(スゴ積み)」の名称になったようです。具体的には、1万円など毎月の積立金額と口数を選べば始められ、期間は12か月。満期を迎えると1か月分のボーナス分をプラスした金額を残高として、髙島屋店舗で使うことができます。お中元やお歳暮、誕生日プレゼントなど、年に1回それなりの金額の買い物を髙島屋でするという人に向いたサービスと言えるでしょう。
百貨店で提示すると商品価格が10%オフになる、髙島屋の「株主様ご優待カード」と組み合わせて使うと、お得度が増します。スゴ積みで1か月分のプレミアが乗ったことに加えて1割の割引は、相当のインパクトがあります。なかでも、同百貨店のクレジットカード「タカシマヤカード」を使っても1%のポイントしか還元されないデパ地下の場合、株主優待カードを提示すると10%オフが適用されるので、割り引かれた金額を「スゴ積み」で積み立てた残高で支払うと、かなりお得です。
若年層の顧客を増やしたい百貨店にとって、アプリを使った銀行サービスは相性が良く、アプリで提供される友の会のサービスは、若者にとって新鮮に映るでしょう。これからも懐かしいサービスがデジタル化して登場し、再び注目を集めるかもしれません。