ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回は、新カードの情報や2022年におけるクレジットカード業界の動向を総括する。−−−
エンリッチ読者の皆さま、ポイ探の菊地です。前回は、コンビニでのポイント高還元や投資に特化したクレジットカードを紹介しました。近年は電子マネーやコード決済を中心に小額決済に対応するサービスが増えてきました。クレジットカード各社もこういったシーンでの利用を促したく、生活に身近なコンビニを対象にしていると考えられます。一方、国による「貯蓄から投資」の号令のもと、若年層を中心に資産運用に興味を持つ人は増えていて、投資にアクセスしやすいクレジットカードは増えていくでしょう。今後も新たな情報があればご紹介したいと思います。
メルカリがクレジットカードをリリース
利用実績がカード機能・得点に影響
今回は、11月に登場したメルカリグループによるクレジットカード、「メルカード」の情報からお伝えします。メルカリといえば、累計利用者数約4800万人、累計流通総額約3.8兆円を記録する、国内差大規模のオンラインフリーマーケット。近年はスマホ決済の「メルペイ」の提供も始め、フィンテック事業にも積極的に取り組んでいます。
そんな同グループがリリースしたのが、年会費無料で国際ブランドがJCBのメルカードです。券面はメルカリのロゴとICチップのみのシンプルなデザインで、カード番号や有効期限、セキュリティコードなど個人情報はアプリで管理します。カードを使うとすぐさまアプリやメールに利用明細が届き、紛失・盗難時はアプリを通じて利用停止ができるなど、近年のトレンドを押さえた仕様であるのも特徴でしょう。
メルカードが個性的なのは、メルカリやメルペイの利用実績が、ポイント還元率やカードの利用限度額に影響することです。メルカリはカード発行に伴いメルカリやメルペイスマート払い(後払い)」でポイントを付与する「常時ポイント還元」サービスを始めました。たまったポイントは1ポイント=1円としてメルカードの支払いやメルカリ・メルペイでの買い物、メルペイスマート払いの利用分に充当できます。メルカードの場合、一般加盟店での利用だと常時1%還元ですが、メルカリでの購入・出品、メルカリ以外での買い物、メルカードの利用などに応じて、メルカリでの購入還元率が最大4%にアップ。毎月8日はメルカード・メルペイスマート払いの還元率は、当初還元率+8%になります(ポイント付与は上限300ポイント)。
また、メルカードの利用限度額は最大50万円ですが、これもメルカリでの期日通りの発送・支払い、丁寧な対応など、メルカリ上で蓄積された振る舞いにより変動します。一般的なクレジットカードは属性や年齢で与信は決まりますが、メルカードは異なるわけです。
自社サービスの活用などでサービス内容が変わるといえば、LINE傘下のLINEクレジットによる個人向け融資の「LINEポケットマネー」が挙げられます。同サービスではLINE上の行動をスコアリングする「LINEスコア」をもとに利用限度額や貸付金利の条件が提示されます。具体的には、1カ月前より友達(連絡先)が減るとハイリスク、複数人によるグループチャットを使ったりLINEギフトの利用が多いと低リスクと判断されるようです。メルペイの個人向けローン「メルペイスマートマネー」もメルカリの販売実績やアプリ内での行動が融資の判断に左右しますが、メルカードもこれに倣った形です。リアルの世界がそうであるように、ネット上の言動が信用・サービスに影響するわけですが、ある意味、本音が出やすいだけに、こういった取り組みは今後も各種サービスで活用されていくかもしれません。
−−−オンライン上での行動とカード機能・特典に紐づくメルカードは、非常にユニーク。今後はECサイトなどでも採用されるかもしれない。次回は、プレミアム系クレジットの継続利用特典の傾向について考える。