ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回は、異業種による銀行サービス参入の話題を中心に取り上げる。−−−
エンリッチ読者の皆さま、ポイ探の菊地です。前回は、メルカリの利用実績によってカード機能が変わる「メルカード」や、プレミアム系クレジットカードの継続特典、ナンバーレスカードの最新事情について取り上げました。クレジットカードの不正利用額が過去最悪に達したことにもふれましたが、キャッシュレス決済の普及が拡大するなか、セキュリティ対策は今後も強化されるに違いありません。こういった情報に関しても、新たな動きがあれば紹介します。
第一生命がネットバンクを開始
銀行取引でポイントがたまる
老舗百貨店の高島屋による「髙島屋NEOBANK」や家電量販大手ヤマダ電機の「ヤマダNEOBANK」など、近年は異業種が銀行代理業を始めるケースが増えています。基本的にはアプリなどを経由して口座を開くとお金を預けられ、ATMでの入出金や他行への振込みなど、一般的な銀行取引ができます。資金管理だけではなく住宅ローンなどに対応するサービスも見られます。銀行機能を持たない企業が、既存銀行のインフラを利用して始めていますが、今年1月には生保大手の第一生命も同ビジネスに参入しました。
同社は資産形成や資産承継のニーズに応えるため、独自コンテンツを提供するデジタルサービス「資産形成プラス」を始めています。ネットバンクサービスは資産形成などの入り口として提供しているようです。
ここまでは他社と変わりませんが、第一生命が異なるのは、住信SBIネット銀行と協業した「第一生命 NEOBANK」と、楽天銀行と協業した「楽天銀行 第一生命支店」の2つのサービスをラインナップしたこと。銀行取引等でポイントがたまり、手数料無料などの優遇も用意されています。
例えば「第一生命 NEOBANK」の場合、モバイル経由なら最短3分で口座を開設でき、ATMからの入出金、他行振込手数料は月5回まで無料です。また、給与受取や引落でポイントがたまり、たまったポイントは1ポイント=1円に交換することができます。その他の特徴としては、キャッシュカードのかわりにスマホアプリでATMでの取引ができる「アプリでATM」の機能も搭載しています(セブン銀行とローソン銀行ATMが対象)。ただし、オリジナルデザインのキャッシュカードを発行することも可能です。
一方、「楽天銀行 第一生命支店」もアプリ経由で口座を開設することができ、コンビニやゆうちょ銀行など全国10万台のATMが利用可能。入出金手数料は月最大7回まで無料になり、他行振込手数料も最大3回まで無料です。給与の受取・振込・口座振替で楽天ポイントがたまり、たまったポイントは振込手数料、同行デビットカードの支払い、外貨預金に預け入れに利用できます。
これらは「資産形成プラス」内のサービスであり、保険会社が提供するということは、最終的に保険契約につなげたいのかもしません。「資産形成プラス」自体には資産の寿命をシミュレーションできる機能があり、同社のiDeCoやNISA口座開設への導線も用意されています。保険の顧客だけではなく誰もが会員登録することなくアクセスできるので、見込み顧客の裾野を広げる効果も期待できるでしょう。
−−−銀行サービスを提供する、第一生命の「資産形成プラス」。異業種による銀行代理業への参入は、同社だけではない。次回も事例を取り上げよう。