ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回はアメックスやラグジュアリーカードによる、税金決済時のポイント付与のルール変更について取り上げる。(1/3から読む)−−−
拡大するカードによる税金納付
ポイント付与ルールの変更が相次ぐ
ショッピングだけではなく、水道光熱費をはじめとする固定費、さらに国税・地方税などの各種税金、公金の納付にも使えるクレジットカード。会員にとってはポイント獲得につながりますが、カード会社にとっては大量のポイント付与となり、運営の負担になっているのは想像に難くありません。こと、プレミアム系クレジットカードの会員は高額納付者が多く、決済手数料よりポイント付与の負担が上回る逆ザヤ状態になっているカード会社もあると思われます。
これを背景に、税金決済時のポイント付与方法を変更したのが「ラグジュアリーカード」です。同カードはこれまで、通常のショッピングと同等のポイントを付与していましたが、11月6日以降は、自動車税、固定資産税、法人税、ふるさと納税などの税金や、特許申請料、国民健康保険料、国民年金保険料など公金の支払いに対するポイント付与を以下のように変えました。
▶️2023年11月6日~2024年4月5日まで
決済で付与するポイントの半分をカード利用月の翌月までに付与、残り半分は2024年6月に付与します。タイミングは二度にわかれるものの、無条件で全ポイントを受け取ることが可能です。
▶︎2024年4月6日以降
税金の支払いで獲得するポイントの半分は、カード利用月の翌月までに付与されます。残り半分は、集計期間中(毎年4月6日~翌年4月5日)に税金以外のショッピング利用金額が税金の利用金額の3倍以上だと、集計期間終了後の毎年6月に付与。条件が未達の場合、残り半分のポイントは進呈されません。
ポイント還元率は変わらないものの、税金以外の支払いにカードを使っていないと、ポイント付与が半減することになった、ラグジュアリーカード。これまで、税金などの納付にしかカードを使っていなかった会員にとって、今後の方策を考える必要がありそうです。
一方、アメックスのプロパーカードは100円=1ポイント付与のところ、税金・公金に関しては200円=1ポイントと還元率を半減させていましたが、2024年1月以降は一部提携カードでも国税などの支払いに対するポイント付与ルールを変更します。
対象となるのは次のカードです。
ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カード
ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード
ANAアメリカン・エキスプレス・カード
ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード
ANAアメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード
デルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス・カード
デルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード
Marriott Bonvoyアメリカン・エキスプレス・カード
Marriott Bonvoyアメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード
変更内容は、ポイント付与の上限が縮小されることです。
例えば、ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス提携カードの場合、今年末までは200円=2ポイント付与しますが、2024年1月以降は毎年1年間(1月1日~12月31日まで)の合計300万円以内に対しては同様にポイントを付与しますが、300万円を超えた利用分にポイントは付きません。ANAアメリカン・エキスプレス提携カードとデルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス提携カードはポイント付与率が200円=1円であること以外に、ヒルトン提携カードと変更内容は同じです。
Marriott Bonvoyアメリカン・エキスプレス提携カードに関しては、ポイント付与の上限が500万円から300万円に引き下げられます。現在は500万円以内の利用に対して200円=2~3ポイントが付与され500万円以上は対象外ですが、来年以降は300万円までになるということです。
ラグジュアリーカードと同様、アメックスの一部提携カードも、税金・公金の決済に対するポイント付与に苦慮していたのでしょう。今後は他カードにも似た動きが広がっていくかもしれません。クレジット納付をしている方は条件をクリアする、複数のカードにわけて納付するなど、何らかの対策が求められます。
−−−税金・公金のクレジット納付に対するルール変更は、高額納税者に大きな影響を与えるだろう。次回、11月最後は空港ラウンジサービスの変更や無料のゴールドカード発行のトピックをお届けする。