ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回はプレミアム系クレジットカードやポイントを取り巻く環境の振り返りや、2024年の動向に関して解説する。−−−
エンリッチ読者の皆さま、ポイ探の菊地です。前回(読む)は、アメックスによる「プラチナ・カード」及び「ビジネス・プラチナ・カード」のリニューアルの話題を取りあげました。年会費を引き上げましたが、更新時のトラベルクレジット進呈やキャッシュバック特典、ビジネスカードではシェアオフィス・コワーキングスペースの無料クーポンなど、個人向けカードでは生活関連、ビジネスカードは業務をサポートする特典を充実させました。
クレジットカードによる税金納付についても取り上げました。近年は各種税金・公金のキャッシュレス決済が拡大しており、ポイントが付与されるカードもあるので、対象カードの会員は活用を検討すれば良いと思います。
ポイント経済圏の競争が激化
TポイントとVポイントは統合へ
2023年のクレジットカード・ポイント関連のニュースで衝撃的だったのは、共通ポイントの「Tポイント」と「Vポイント」の統合です。
TポイントはTSUTAYAなどを運営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)系で、共通ポイントの草分け的な存在。一方、Vポイントは三井住友カードによる共通ポイントで、世界中のVisa加盟店で使えるのが特徴です。近年はひとつのアカウントでさまざまな金融サービスにアクセスできるSMBCグループの金融サービス「Olive」と連携するなど、たまりやすく使いやすい共通ポイントとして、ユーザーを増やしていました。
そんな両ポイントですが、三井住友フィナンシャルグループと三井住友カード、CCCとCCCMKホールディングスの4社は、SMBCグループとCCCグループによる資本業務提携により、2つのポイントを統合すると発表。2024年4月めどに、Tポイントの青と黄のカラーを継承した、新しいVポイントとしてリニューアルします。
Tポイントは提携先が全国におよそ15万店。日本初の共通ポイントとして圧倒的な知名度を誇ります。ただし、近年はソフトバンクグループが自前のコード決済であるPayPayやPayPayポイントを始めたことで経済圏から外れるなど、不遇に見舞われていました。ところが今回の提携により、既存の加盟店に加えて世界1億以上のVisa加盟店でもためて使えるばかりか、SMBCグループのクレジットカードを通じてポイントをためられるようになります。
一方、Tポイントに比べて知名度や加盟点数で後れを取るVポイントにとって、統合すれば約1.3億の有効IDまで拡大し、国内の加盟店も拡大することに。両者にとってメリットがあり、会員にとっても悪い話ではありません。楽天ポイント、PayPayポイント、dポイント、Pontaポイントといった既存のポイント経済圏に、Vポイントが加わると考えて間違いないでしょう。また、新たな勢力が生まれることで各社の囲い込みは激しくなり、ユーザーにとって魅力的な新サービスが生まれるかもしれません。
−−−老舗のTポイントと金融サービスとの連携で利用者を増やしてきたVポイントの統合は、大きなニュース。春頃には新サービスが始まるので詳細を期待したい。次回も引き続き、各社の動向を振り返りつつ今年の展開を読み解く。