ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回は新たに発行されたプレミアム系クレジットカードを取り上げている。(1/3から読む)−−−
中小企業経営者・個人事業主向けのカードが登場
クレディセゾンとスルガ銀行は、4月1日から「スルガ・セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」の取り扱いを始めています。
同カードはスルガ銀行の口座を持つ中小企業経営者・個人事業主などの向けたカードで、年会費は2万2000円。付与されるのは永久不滅ポイントです。
付帯サービスは「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」と同様で、会員専用のコンシェルジュサービスや空港ラウンジ利用、高級ホテルの優待・特典、空港までのハイヤー送迎、手荷物無料宅配サービスなど。ビジネスに関するものとしては、貸し会議室やビジネス雑誌の年間購読料金の割引、経理担当者向けのクラウド型経費精算サービスの6か月間無料、レンタルサーバや法人向け顧問弁護士サービス、補助金・助成金コンサルティングサービスの優待などもあります。資産運用のサポートサービスもあります。
まさに、対象者にフィットした特典が揃っているわけですが、なぜこのようなカードが生まれたのでしょうか。じつはクレディセゾンとスルガ銀行は2023年5月18日に資本業務提携を締結しており、これまでに住宅ローン事業における連携のほか、法人顧客の困りごとやニーズに応えるサービスとして、後払い決済・請求代行サービス「セゾンボイス」や福利厚生サービス「セゾンフクリコ」の紹介などの取り組みを進めてきました。今回のカード発行もこの一環であり、両社の協業体制をより深める目的があると思います。
一方、ダイナースクラブカードを発行する三井住友トラストクラブと、BMWのグループ会社であり国内におけるBMWグループの金融サービスを提供するBMW・ジャパン・ファイナンスは4月1日より、提携カード「MINIダイナースカード」の発行を始めました。年会費は2万7500円で、通常は100円につき1ポイント、正規ディーラーにおける車両購入代金の決済時には200円につき1ポイント、駐車場やガソリンスタンドでの利用時は100円につき2ポイント、有料道路やETCカードの利用時は100円につき1.5ポイントを付与します。また、年間6600円のダイナースグローバルマイレージを支払うと、ANAマイルに1000ポイント=1000マイル、JALマイルに2500ポイント=1000ポイント、他航空会社は2000ポイント=1000マイルに移行することができます。
なお、MINI正規ディーラーでの利用に加え、ダイナースクラブ加盟店で獲得したポイントは100ポイント=100円に換算しキャッシュバックに利用でき、同カードに加えMINI自動車保険に加入すると、MINI自動車保険に付帯する「MINI EXTRA CARE」が「MINI EXTRA CARE〈PREMIUM〉」にアップグレード。同カードを年間100万円以上利用すると、非売品のMINIオリジナルグッズももらえます。
まさにMINIのオーナーを狙い撃ちにしたカードですが、単に車両の購入やキャッシュバック特典があるだけではなく、駐車場やガソリンスタンド、有料道路、ETCといった自動車と切り離せないサービスの利用でポイントアップするのは魅力的かもしれません。
三井住友トラストクラブとBMW・ジャパン・ファイナンスは2009年から「BMWダイナースカード」「BMWプレミアム ダイナースカード」を発行しBMWユーザーから好評を得ていましたが、MINIとの提携カード発行に対する期待も寄せられていたそうです。今回はこういった声に応えた格好ですが、近年は特定の顧客やファンを対象としたクレジットカードが増えています。コンセプトを持たせたカードの発行は会員の確保に繋がり、今後もさまざまなものが生まれるのだと思います。
−−−特定の層を対象としたクレジットカードは会員の獲得につながりやすく、会員にとってもニーズに沿った特典を受けやすいのが特徴だ。双方にとってメリットを見いだせる。次回、5月最後はJR東日本が始めた金融サービスについて取り上げる。