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プレミアム系クレジットカードのリリース動向など 3/3  

ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回はJR東日本が始めた「JRE BANK」のサービス内容や特典について紹介しよう。(1/3から読む)−−−

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JR東日本がデジタル金融サービスに本格的に参入

4月23日にTポイントVポイントが統合しました。これにより巨大なポイント経済圏が新たに誕生しましたが、これに追随すべく他社もポイント経済圏を拡大すべく、さまざまな取り組みを進めています。そのひとつが、JR東日本とビューカードが5月から始めたデジタル金融サービス「JRE BANK」です。同サービスは、異業種が既存銀行のデジタルプラットフォームを活用し金融サービスを提供するBaaSであり、JRE BANKの場合は楽天銀行と協業しています。ちなみに口座開設はJRE BANKのアプリやウェブサイトから行いますが、すでに楽天銀行の顧客であっても口座を開くことができます。楽天銀行からするとBaaSを通じて口座や預かり資産を増やすことができるわけです。

JRE BANKでは振込、入出金明細、定期預金、外貨預金、住宅ローンなど、楽天銀行が提供する銀行サービスが利用でき、JRE BANK専用のブランドデビット機能付キャッシュカードも発行します。これにより、JR東日本グループがすでに有しているSuica・ビューカードに加え、各種支払における決済手段の幅が広がります。また、同カードの利用に応じては、20歳以上なら500円ごと、20歳未満は200円ごとにJRE POINTが1ポイントたまります(16歳未満はデビット機能がないキャッシュカードを発行)。

JRE POINT WEBサイトへの事前登録とJRE BANK口座との連携(JRE POINTリンク登録)をしたうえで、資産残高などの利用状況に応じた特典が得られるのも特徴で、次のような特典を用意しています。

① JRE BANK優待割引券(4割引)
割引券1枚でJR東日本営業路線内の片道運賃および片道料金を4割引。年間2回判定で最大年10枚。

② どこかにビューーン!2000ポイント割引クーポン
JR東日本がお勧めするどこか1つの駅へJRE POINTで往復利用できる「どこかにビューーン!」を通常から2000ポイント引きで提供。年間4回判定で最大年12枚。

③(モバイルSuica限定)Suicaグリーン券
普通列車グリーン車を無料で利用できるSuicaグリーン券を提供。年4回判定で最大年4枚。

④ JR東日本グループのさまざまな特典
JR東日本グループ会社のさまざまな特典を用意。

口座資産残高や取引の回数に応じて、ベーシックからスーパーVIPまでの5つの会員ステージも用意します。全ステージ共通では駅のATM「VIEW ALTTE」での引き出し手数料が無制限で無料となり、提携金融機関のATM手数料は月1回~最大7回無料、JRE BANK間の振込手数料は無制限、他行宛振込手数料も最大で月3回が無料となります。銀行口座との振込、給与/年金などの受け取り、その他の口座振替、ビューカードの口座振替(5000円以上)、コンビニ支払い、公営競技、宝くじの利用でもポイントがたまります。

近年は住信SBIネット銀行の「NEOBANK」や楽天銀行を通じたBaaSのサービスが拡大しており、鉄道会社や航空会社、家電量販店などが金融事業に参入しています。異業種からすると参入障壁の高い銀行業に参入することができ、特典を通じて付加価値の高いサービスを提供できるようなるのは大きなメリットでしょう。金融機関しても顧客獲得の場が広がります。こういったサービスは、ますます広がっていくでしょう。

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菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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