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金融・交通分野で加速するキャッシュレス決済の普及 2/3

ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回は、ドコモとマネックス証券が始めた「dカード積立」について解説する。(1/3から読む)−−−

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dカードを使った投信積立で最大1.1%還元

7月5日より、マネックス証券でドコモのクレジットカード「dカード」及び「dカードGOLD」を使ったクレカ積立サービスが始まりました。ドコモとマネックスグループ・マネックス証券は昨年10月に資本業務提携を結んでおり、すでに同サービスを始めるとアナウンスしていましたが、ようやく実現したということです。

対象となるのは課税口座、NISA口座で、マネックス証券で取り扱う積み立て可能な銘柄の買い付けに利用することができます。積立設定上限額は毎月合計10万円まで、積立単位は原則1000円以上1円単位(ファンドにより異なる)です。

ポイント還元率はカード種別、口座種別、積立額により異なり、まとめると次のようになります。

■「dカード」(課税口座・NISA口座)及び「dカードゴールド」(課税口座)

・5万円以下:1.1%
・5万円超~7万円以下:0.6%
・7万円超~10万円以下:0.2%

この場合、毎月10万円を積み立てると、5万円までの分が550ポイント、5万円超7万円までの分が120ポイント、7万円超10万円までの分が60ポイントの、合計730ポイントが付与されます。これは、従来からあった「マネックスカード」と同等の還元率です。

■「dカードGOLD」(NISA口座)

・一律1.1%

この場合、毎月10万円を積み立てると、1100ポイントが付与されます。

現在は、複数の証券会社がクレカ積立のサービスを提供していますが、なかでも1.1%還元は高水準の部類です。マネックス証券でNISA口座を開設しており、「dカードGOLD」を持っているなら、この組み合わせがよいでしょう。仮に上限の月10万円を積み立てると年間で1万3200ポイントがたまるので、同カードの年会費1万1000円を回収することができます。一方、月5万円以下の積立の場合は「dカードGOLD」である必要はなく、「dカード」もしくは「マネックスカード」で構いません。

なお、「dカード」と「マネックスカード」の両方を持っている場合ですが、日常でdポイントの利用が多い、ドコモケータイやドコモ光などのサービスを利用しているなら前者がよいかもしれません。一方、「マネックスカード」の利用でたまるマネックスポイントは暗号資産に交換できたり、投資信託の購入にも利用できます。今秋をめどにdポイントでも投資信託の購入は始まりますが、暗号資産についてはわかりません。暗号資産を買いたい人は「マネックスカード」の利用を検討すればよいでしょう。

そして、dカード積立が始まったことで、dポイント、楽天ポイント、PayPayポイント、Pontaポイント、Vポイントといった、主要ポイント経済圏でクレジットカードを使った積立投資が出揃うことになりました。とりわけ、金融サービスの強化が課題だったdポイント陣営にとって、
今回の取り組みは悲願だったことでしょう。これを機に、ますます金融とキャッシュレス決済の関係は密接になり、活用するユーザーの拡大が見込まれます。

一方、さらなるサービスの拡充に向けた施策も始まっています。それが、SBI証券が今秋リリース予定の「国内株式積立サービス」です。これは、国内株式をあらかじめ設定した日に自動で積立購入するもので、1株単位から毎週、毎月、複数日での積立設定が可能です。ポイントの利用にも対応しており、事前に設定した内容で積立時に自動的にポイントを自動充当することもできます。クレジットカードは利用できませんが、ポイントの使い道に困っている人にとって、便利なサービスといえるでしょう。類似の株式積立サービスは他社も始めていますが、今後はさらなる広がりを見せるかもしれません。

−−−いよいよ始まった、「dカード×マネックス証券」のクレカ積立サービス。金融サービスで後れを取っていたドコモ経済圏の巻き返しが期待される。そして次回は、交通分野におけるキャッシュレス決済の取り組みについて解説する。

菊地宗仁_300

菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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