内藤 さっそくですが、ニューヨークの不動産投資環境について、お聞かせください。
アメリカ経済はマクロ的に好調で、世界中から資金が流れ込んでいます。FRBによる金融緩和は終わり、今年半ばには利上げに転じるといわれるほど。ただし、急激に上げるのではなく、これまでの異次元緩和を普通に戻すレベルで、ブレーキを踏み過ぎてリーマンショックの二の舞ということが起きるとは考えにくいと思います。実際に金利が引き上げられるとアメリカにはさらに資金が集中して、家賃や物件価格の上昇といったポジティブな影響もあるでしょう。景気が良くないと金利は上げられませんし。
池田 景気は引き続き好調で、街自体もとてもポジティブな雰囲気です。そもそも、ニューヨークの不動産は需要が強すぎて供給が追い付いていません。データでもわかりますが、マンハッタンダウンタウンの空室率は1%程度。なかでもトライベッカやウェストビレッジはアベレージで0.5%ですから、ほぼ埋まっているということです。
内藤 0.5%! 200室あって1部屋が空いているかどうか…。東京23区の空室率は約12%ですから、比べ物にならない住宅ニーズの高さと言えますね。
池田 そういった背景もあり、ニューヨークの不動産マーケットは高い安定性も維持しています。同じアメリカでも、カリフォルニアやフロリダの不動産価格はリーマンショック前にバブルの様相を呈して急激に上がり、その後は激しい落ち込みを示しました。対してニューヨークは、リーマンショック直後も価格はほぼ横ばいで崩れませんでした。需要が強いのでマーケットとして、転びづらいのです。ニューヨークの街は世界中の投資家が「この街は安全だ」と思い、資産の安全な逃避先としても人気が高く、世界中の投資家が買い支えているマーケットだと言えます。