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スリランカ不動産投資 vol.2

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。5月は、FPコミュニケーションズの浦田健氏をお招きし、スリランカの不動産投資事情をテーマに対談を行っている。内戦が終わり経済成長を始めたというが、今後はどういった変化が期待できるのだろうか。

地政学的に重要な拠点となり、インフラ整備も急ピッチで進む

コロンボは、スリランカ南西海岸沿いの最大都市。人口は約80万人
コロンボは、スリランカ南西海岸沿いの最大都市。人口は約80万人

内藤スリランカといえば紅茶が有名ですが、主要産業の成長はいかがでしょうか。これにより、国民生活の向上に伴う住宅需要の増加、あるいは外資の参入による駐在員のためのホテルやコンドミニアムのニーズが期待できます。

浦田 スリランカ中央銀行によると、2015年は官民の投資が堅調に拡大し、ITのような新産業だけではなく、アパレルやゴムといった伝統的な産業も好調で、幅広いセクターで成長が見込まれています。 経常収支の赤字は2014年のGDP比3.8%から(世界銀行推計値)から約3%に縮小する見通しです。

ジェトロによる経済見通しでも、コメや牛乳、砂糖といった主要農産物の生産が増えることで輸入コストの低減が期待され、天然ゴムや水産物が世界市場での需要の高まりを受けて増加。工業でもテキスタイル・医療品、ゴム製品、窯業製品については、先進国の景気回復を受けて輸出、需要が拡大すると予想しています。ちなみに陶器でいえば、国内外で人気の高いノリタケはスリランカに工場を構えていますよ。

内藤 経済成長と並行して、インフラ整備も急ピッチで進められているようですね。

浦田 貿易量の拡大に伴い、スリランカ最大の都市であるコロンボの南西岸にある最大の港湾・コロンボ港の拡張が行われています。世界海運評議会によると2012年の同港の取り扱い量は世界32位で、これは名古屋港より多い規模。高速道路の建設も行われていますが、日本からは大成建設が参加していて、中国企業と半々で請け負っているようです。

内戦中のODA関連投資は日本が一番でしたが、内戦終了後は中国や韓国からの投資が積極的になっており、現在は中国からの投資が一番多くなっています。

エンリッチ 内藤忍 スリランカ

現在、スリランカ南部で整備されている国際空港や港湾は中国資本によるもの。それに比べると、日本のスリランカ進出は、大きく水をあけられてしまった印象です。ジェトロコロンボによると、日系企業は約120社、在留邦人は約1000人と、まだまだ小規模。対スリランカの直接投資(FDI)は年々増えているのですが、日本からのFDIは、ほぼ横ばいです。とはいえ日本食レストランは増えているようで、コロンボにある居酒屋は常にお客さんで一杯でした。近年は外食産業のアジア進出が目立ちますが、スリランカにもチャンスがあるかもしれません。

内藤忍

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