内藤 内戦が終わったことで、観光業も成長していますよね。
浦田 おっしゃる通りです。「聖地アヌラーダプラ」や「古都ポロンナルワ」「シンハラジャ森林保護区」など、スリランカの南部・中央部には計8つの世界遺産があり、ビーチリゾートも人気です。政府は年間200万人の観光客誘致を目指して観光資源の整備を進めています。観光客数も右肩上がりで日本からは3万1505人(2013年)、これは前年比約20%増の数字で、今後も増えていくと予想されています。ところが、観光客は最大都市のコロンボを素通りするため、コロンボ市には観光収入が落ちていないという現状もあり、政府はコロンボのCBD(中心業務地域)にカジノやショッピングモールなど総合型リゾートの建設を構想しているようです。
内藤 経済成長に加えて、投資家が注目しているのはスリランカの地政学的重要性だと聞いています。
浦田 中東とアジアを結ぶシーレーンの中間に位置していて、大航海時代からの優位性は揺るぎそうにありません。現在では、インド、パキスタン、バングラディシュといった南アジア計15億人の巨大市場へのアクセスのしやすさも注目されています。コロンボからインド・チェンナイまでは飛行機で1時間半、パキスタン・カラチまで3時間40分の距離。貿易港として発展し、カースト制度といった宗教的なしがらみもなく、気候や国民感情は穏やかで英語が通じるところもあり、コロンボは南アジアに進出する企業の業務統括拠点になることが期待されています。シンガポールから約3時間半、ドバイからは約4時間半と、中東・東南アジアの主要都市から等距離であるのも魅力的で、コロンボはヒト・モノを集めるハブ都市、南アジアのシンガポールになれる可能性を秘めているのです。
―――幅広いセクターで成長が見込まれ、地政学的にも存在感を高めつつある、スリランカ。そこで気になるのは、不動産投資について。次回からは、本題について対談を進めていこう。
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内藤 忍(ないとう しのぶ)
株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事
東京大学経済学部、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。
大学卒業後、住友信託銀行に入社。
1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。
その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。
2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。
毎週発行する資産デザイン研究所メールは、購読者約12,000名。個人投資家の強い支持を受けている
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早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学などで講師を務め、雑誌、ネットでの連載コラムを担当。主な著書にシリーズ10万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ。「60歳までに1億円つくる術」「「好き」を極める仕事術」「丸の内朝大学マネーの教科書」「究極の海外不動産投資」など多数。最新刊は1月末に出版した「飲めて殖やせる 究極のワイン投資」。
浦田 健(うらた・けん)
株式会社FPコミュニケーションズ 代表取締役
一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC) 代表理事
http://www.urataken.com
2002年個人向け不動産コンサルティング会社を創業。著書「金持ち大家さん」シリーズのほか不動産関連書籍多数。発行部数は業界最多の累計27万部超。2008年「すべての人に不動産の知識を!」を使命としJ-RECを創設。同時に「不動産実務検定」を開始。全国35カ所以上に教室を開設し、いつでも、だれでも、どこでも不動産実務知識が学べる環境をつくる。現在はクアラルンプールに拠点をおき、日本はもとよりアジアマーケットの不動産コンサルティングを手がける。