資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。6月のテーマは国内中古1棟不動産投資で、東京都内の不動産会社に勤務し、個人投資家向け収益不動産の売買・仲介を手がける、金田大介氏をゲストに対談を進めている。第3回目は、こういったタイプに投資するメリットについて取り上げよう。(vol.1から見る)
中古1棟だからこそのメリットとは?
内藤 地方の中古1棟モノは物件の目利きが難しくリスクが高い反面、リスクの見返りに投資メリットもあると思います。都心のワンルームと比較すると利回りは高く地方中古1棟なら8%以上見込めることも珍しくありません。空室リスクはあったとしても、大きなキャッシュフローを期待できます。都心ワンルームだと毎月受け取れるキャッシュは1万円を切り、固定資産税を払えば、キャッシュフローをプラスにするのは段々難しくなってきました。ところが地方の中古1棟の場合、物件選びさえ間違えなければ、フルローンに近い融資を受けたとしても、初年度から多ければ100万円を超えるキャッシュフローを生むことが可能。これが、大きな魅力になりますね。
金田 その通りです。物件評価と個人の与信を基にレバレッジをかけて銀行融資を受けることにより、持ち出し資金を極力抑えながら大きく事業展開することができます。複数の物件を持つことで、年間1,000万円を超えるキャッシュフローを家賃収入から得るというサラリーマン大家さんは既に多くいらっしゃいます。(ここで言う「キャッシュフロー」とは、家賃収入から固定資産税、管理費、銀行返済を差し引いたものを指す)いうなれば、1棟投資こそ、収益の柱となるビジネスに育てられる手段であるということですね。重要なのは、自分自身の目標・ゴール設定にあります。将来の年金プラスアルファで良いのであればワンルーム投資で良いと思いますが、さらなる収益源を作りたいのであれば1棟投資が良いにではないでしょうか。
内藤 新築物件と比較しても中古物件にはメリットがありそうです。新築の場合は、設定家賃を想定する必要がありますが、中古はすでに実績があるので、購入後のマネープランが立てやすい。当然ながら、物件価格は新築よりも安いですしね。
金田 築⒛年程の中古ですと過去の履歴もありますし、家賃下落率も低いです。新築物件は5年後の家賃下落が大きいのですが、中古であれば横ばいをキープでき、購入してから10年後のキャッシュフローがある程度把握しやすくなります。つまりトラックレコードがあることにより事業収支を見据えることができるのです。
一方で、中古ですから修繕リスクは新築物件より高くなります。その点については、各設備とも耐用年数、買い替え時期が大よそ決まっているので、物件取得時から予算を把握しておくことにより資金計画を立てることができます。
内藤 いずれにしろ、中古の場合は新築に比べて収益性が高いのは明白です。銀行の融資が引きやすいのも利点では?
金田 地方都市の中古物件であれば利回りも高く割安に手に入れることができる為、購入時の諸費用も含めて銀行融資を付けることが可能です。2棟目、3棟目を買い進めるとなると、おのずと地方の中古物件が狙い目だと言うことがお分かり頂けると思います。キャッシュフローを生みやすく、それを元手にさらなる物件取得ができるスキームが構築できるのです。
内藤 不動産投資を事業として成長させたいなら、中古1棟は狙い目だということですね。ひとつの物件で終わるのではなく、そのキャッシュフローをベースに増やしていき、ある程度まとまれば、それまではビジネスパーソンとしての与信で融資を受けていましたが、不動産事業として借り入れができるようになります。
―――物件によっては都心のそれに比べ、収益性でメリットを享受しやすいという地方の中古1棟物件。キャッシュフローを作り出した後に物件を買い進めれば、事業性も高まる。それでは次回、6月の締めくくりは、銀行融資のテクニックについて、金田氏からアドバイスを頂こう。
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内藤 忍(ないとう しのぶ)
株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事
東京大学経済学部、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。
大学卒業後、住友信託銀行に入社。
1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。
その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。
2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。
毎週発行する資産デザイン研究所メールは、購読者約12,000名。個人投資家の強い支持を受けている
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早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学などで講師を務め、雑誌、ネットでの連載コラムを担当。主な著書にシリーズ10万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ。「60歳までに1億円つくる術」「「好き」を極める仕事術」「丸の内朝大学マネーの教科書」「究極の海外不動産投資」など多数。最新刊は1月末に出版した「飲めて殖やせる 究極のワイン投資」。
金田大介(かなだ・だいすけ)
1982年生まれ、愛知県出身。
一棟収益物件に特化した東京都内不動産会社の執行役員。
業界歴は約10年、年間取引は30件45億円にのぼる。
宅地建物取引主任士
不動産コンサルティングマスター(公認)
ファイナンシャルプランナー(AFP認定会員)
法人(不動産ファンド、一般法人等)の売買取引に従事し、リーマンショック以降はサラリーマン投資家向け収益不動産の市場へ参入に現在に至る。
「負けない投資」をモットーに不動産投資の安定性、収益性、資産価値を顧客の将来設計に沿ってプランニングから実行・達成へと導く。
一般市場に出ていない【川上】の情報仕入ルートに強みを持ち顧客からのリピート購入率は70%を超える。