資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。7月は香港の銀行「Nippon Wealth Limited,a Restricted Licence Bank(日本ウェルス香港銀行:NWB)」の取締役兼CEOである中島努氏をお招きして、香港における資産運用をテーマに対談。NWBが香港で開業した理由について話題は及んだ。(vol.1から見る)
人と情報、資産が集まる場所、香港
内藤 新生銀行やマネックスグループといった名だたる企業が株主として出資して誕生したOJBC、さらに100%子会社で香港を拠点とするNWB。いうなれば日本資本と香港資本の共同出資による香港の銀行ですが、この場所を選んだ理由をお聞かせください。
中島 富裕層の数は欧米を抜くなど、今後、世界最大の富裕層を抱える市場はアジアになり、それに伴い同エリアでの資産運用業務はさらに伸びるでしょう。一方、「どこで手がけるか」ということですが、世界三大金融市場の一つは香港であり、資産運用ビジネスにおいても、、残念ながら東京ではなく、香港がアジアではナンバー1であります。ヘッジファンドだけでも数千あると言われています。ならば、商品供給も豊富であり、最も伸びている市場でウェルスマネジメントビジネスを始めるのが正しいというわけです。
内藤いまや香港はニューヨーク、ロンドンに次ぐ、世界最大金融市場のひとつ。欧米や日本、中国、インド、ASEAN諸国などグローバル市場へのアクセスにも優れていますから、世界中から運用のプロフェッショナルが集まっています。
中島 香港ドルは米ドルとリンク、税金が安いこともあり、アメリカやヨーロッパ、オーストラリア…各国の金融機関が拠点を構え、資産運用業務を手がけているのが香港。人や情報、資本が集まるからこそ、競争原理の働く市場で質の高いサービスや金融商品が提供できます。
例えば、築地は世界に通用する魚河岸ですが、それもあり隣接する場外市場では質の高い鮮魚や料理が売りとなり、世界中から多くの人が訪れています。香港での金融業務もそれは同じで、目の前に巨大な金融市場取引が展開され、当行もその金融市場の場外市場で業務を展開しているようなものなのです。