資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。「Nippon Wealth Limited,a Restricted Licence Bank(日本ウェルス香港銀行:NWB)」取締役兼CEOの中島努氏をお招きして、香港における資産運用をテーマに語り合ってきた。(vol.1から見る)
今後、安定的に資産を守り・殖やしていくには、どういった考えが求められるのかについてお聞きして、今月の締めくくりとしよう。
資産を日本だけに投じる時代は終わった
内藤 銀行業務を始めたNWBですが、今後はいかがでしょうか。
中島 現在は、9種類の通貨に対応した定期預金、為替業務を行っていて、日本居住者以外向けに保険の販売、さらには香港在住者向けに日本不動産の紹介も始めました。
内藤 近年の円安、さらに2020年に開催予定の東京五輪などを背景に、日本の不動産に対する海外からの注目・投資は増えていますからね。
中島 香港に限らず、世界各国の主要都市に比べると、日本の不動産価格は割安。香港であれば、都心部で30平米以下・2ベッドルームのリノベーション物件で、価格は何と1億5000万円、家賃であれば月40万円以上もかかります。庶民的なエリアでも、60平米の物件なら2億円を軽くオーバーします。
内藤 東京で30平米弱の物件だと2000万円台~高くて3000万円ほどですから、いかに香港が高騰しているかわかります。香港在住の方が日本の不動産に興味を持つのも納得です。
中島 これまでは円高で手を出しづらく、なにより香港に日本不動産の情報がありませんでした。香港の方からすると世界中に不動産を持つのは当たり前の話ですが、日本は未開拓だったのです。ですが、NWBのサービスを通じて、それを可能にするのが狙いです。幸い、我々には新生銀行や東急リバブルといった株主がいますから、提携することで海外投資家向けのローンや物件供給といったインフラを構築することができます。
内藤 なるほど、こういった取り組みを通じて、日本から海外へ出ていこうとするアウトバウンド、日本で資産運用したい外国人に対するインバウンド、両者のニーズがくみ取れるということですね。中島さんがおっしゃった、両者にとって国際分散投資のゲートウェイになりたいという言葉の意味を理解しました。
中島 今後は資産運用のサービスを展開するための証券免許の認可を香港証券先物委員会に申請し(Type1並びにType4)、取得後は預金および投資信託、債券などの投資商品の販売などの資産運用のサービスを展開する予定です。NWBの主要株主のひとつであるコンボイファイナンシャルは香港証券取引所に上場する多角的な金融ナビゲーターで、同社との連携によりNWBは厚みのある商品・サービスを取り揃えられるでしょう。