ひとたび洋上に出れば日常は非日常にスイッチし、極上の癒しと愉しみを与えてくれるクルーザーは、エンリッチでも度々特集を組んできた。そんなクルーザーのなかでも、本場欧州モデルは、ラグジュアリーをつき詰める層にとっては憧れの存在。こうしたニーズを受け、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、フランス発のハイエンドブランド『PRESTIGE(プレステージ)』の大型サロンクルーザー『PRESTIGE520』と『PRESTIGE630』の輸入販売を始めた。
*この記事は2020年4月に掲載されたものです
本場クルーザーブランドと
ヤマハがアライアンス
ヤマハと言えば、ボートやクルーザービジネスを手掛けておよそ半世紀の、日本におけるトップブランド。近年の国産プレミアムブランド『EXULT(イグザルト)』シリーズは、日本の匠の技を随所に取り入れて高い評価を得ている。
同ブランドでは43フィートの『EXULT43』を筆頭に複数モデルを展開していて、これらは欧州モデルに引けを取らないクオリティ。一方、50フィート超の大型クラスは扱っておらず、このサイズだと欧州ブランドが選択肢となる。そこで、大型のラグジュアリークルーザー志向の顧客に対し自信を持って製品を届けるべく、ヤマハは正規ディストリビューターとして、『PRESTIGE』を選んだわけだ。
『PRESTIGE』は、フランスの老舗ヨット・クルーザーメーカーとして知られ、同社製品は世界中で販売されている。
ヨットデザインの専門家で世界中から認められるイタリア人によるデザインチーム、「GARRONI DESIGN(ガロニデザイン)スタジオ」が特別な顧客向けに特別なモビリティを作りたいという思いから、1989年に誕生。昨年で30周年を迎えた。
例えば、フランス・カンヌは国際的な映画祭でお馴染みだが、世界有数のマリーナがあることでも有名。世界各地から集うセレブが『PRESTIGE』シリーズのオーナーである事は珍しくない。
マリン先進国と言われる欧米だけではなくカリブや中東、経済発展目覚ましい中国をはじめとするアジアのエグゼクティブたちからも愛されている。
最大の特長は、フランスのサヴォアフェール(匠の技)とイタリアンデザインのブレンド。尖りすぎず洗練されたエクステリアと、コンパクトな外装の内側により多くのスペースを設け、細かい木工品から革張りのインテリアまで、職人たちが丹精を込めて作り上げている。
そんな『PRESTIGE』を『EXULT』を含めた大型艇を開発・製造してきたヤマハが購入からアフターサービスまでをサポートすると言うのだから要注目。北は北海道から南は沖縄まで、全国各地のディーラー網が、メンテナンス対応する。所有後の安心が担保されるのは、これまで輸入艇の購入を躊躇していたオーナーにとって朗報だ。
では、具体的にどういったクルーザーなのか。『PRESTIGE520』を例に、そのクオリティに迫ろう。