なかには、どうやって配分すればいいかわからない人もいるかもしれません。
いつも申し上げていることですが、もし今後円高なのか円安なのかを考え、よくわからないなら円と外貨を半分ずつ保有するのが基本になります。そして、円安の可能性が高いと判断するなら、外貨資産に比重を置くべきでしょう。ほとんどの日本人は資産の大半が円資産というケースが多いでしょうが、円高の時に少しずつ海外資産の比率を高めていくというのも1つの方法です。
金融資産と実物資産についても、例えば不動産は株と違い、経営破たんして価値がゼロになるといったことがありません。インカムゲインと取るとしたら、現状のマーケットでは債券よりも利回りが高いのも特徴です。国内不動産だと相続税の圧縮、海外不動産でも減価償却など節税効果が期待できます。このように、アセットごとのメリットやデメリットを見極め、資産を投じていけば良いのです。
富裕層にとっては、気になる大きなトピックもありました。そのひとつが、昨年7月に施行した「出国税(国外転出時課税制度)」です。
これは、1億円以上の有価証券を持つ資産家が海外に移住する場合、株式の含み益などにも所得税を課す制度で、例えば資本金10億円の会社を設立し、上場していなくても時価評価が100億円になっていれば、90億円の含み益に対して20%課税されるというもの。実現益では無い評価に対して課税されるのが特徴です。これを避けるため、シンガポールなどに移住する富裕層も見られました。政府も、財政赤字対策として富裕層への課税を強化する方向になっていますから、今後は税制の変化にも注意を払いたいものです。
ーーー目まぐるしく変化する世界経済と投資環境。だからこそ、グローバル分散投資が有効な手法だと内藤氏は説く。次回は、同氏が注目している、金融・投資トピックについて迫ろう。
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内藤 忍(ないとう しのぶ)
株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事
東京大学経済学部、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。
大学卒業後、住友信託銀行に入社。
1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。
その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。
2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。
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早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学などで講師を務め、雑誌、ネットでの連載コラムを担当。主な著書にシリーズ10万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ。「60歳までに1億円つくる術」「「好き」を極める仕事術」「丸の内朝大学マネーの教科書」「究極の海外不動産投資」など多数。最新刊は1月末に出版した「飲めて殖やせる 究極のワイン投資」。