資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。1月は特別編をお送りしてきたが、締めくくりとなる今回は、今年の資産運用戦略について内藤氏が語る。(Vol.1から読む)
資産状況を把握して、
現状と目標のギャップを埋める
今後のグローバル経済ですが、原油価格の低調がしばらく続くようならインフレになりにくく、世界的な金融緩和は継続すると思います。昨年12月に実施されたアメリカの利上げも急激に進む訳では無く、段階を踏んで実施されていく可能性が高いでしょう。日本でも日銀が目標とする2%のインフレは実現せず、金融緩和は続けざるを得ません。
アメリカの景気は回復していて、日本は地域差が激しいものの、東京は良い環境で様々な業界で人手不足が叫ばれるほど。一方で賃上げは課題で、これをクリアしないことに消費は回復しませんから、政策でどう対処していくのか見所です。基本的に国内景気に関してはネガティブな材料はあまりないので、去年の延長と捉えて構わないでしょう。
海外不動産は供給過剰の面も。プレビルドの完成が相次ぎ、いざテナントを探そうとしても借り手が付かなかったり、思ったほど家賃が取れないというケースが見受けられます。管理トラブルもあるようです。ここにきて、物件選びの巧拙でパフォーマンスに差が出ているようなので、現地調査やデベロッパー、管理の信頼性など、綿密なリサーチが求められます。
懸念される中国経済ですが、成長率は下がっていますが、クラッシュするリスクは低いと見ています。むしろ、テロなどによる地政学的リスクに注意を払う必要があります。トルコなど、一部の国への投資には慎重になるべきと考えます。
こういった世界各国の状況を鑑みながら、私も投資を実践していきたいと考えていますが、トライしたいのは「逆張り投資」、つまり、ダメだと思われる対象を買う、厳密には、いまは価値や価格を下げているが、いずれ反発するだろうと思えるものを狙うという手法です。