内藤 ギャラリストと作家は二人三脚で、まさにマネージャーとアーティストとい間柄ということですね。先行投資をしながら、ヒットを狙っていくのは、芸能界と似ていますね。ですが、ギャラリストは自分が育てる作家しか扱えませんが、三井さんはアートディーラーですから、複数のギャラリストに接することができ、客観的に作家を評価すというわけでしょうか。
三井 おっしゃる通りです。国内には既に優れたギャラリストが数多く存在し、彼らは資金や労力をかけて一生懸命作家を世界に売り出しています。しかし、国内にファンの裾野を広げる活動には限界がありますので、私はこれまで培った経験やノウハウをもとに、なかから気になる作家をセレクションして、お客様に紹介します。
それも、いくつものギャラリストとつながっていますから、お客様には選択肢を与えることができ、ギャラリストにも多くの有望顧客を紹介することが可能です。まさに仲介役ですが、私のようなアートディーラーがいることで市場は活性化し、引いては作家を応援することが可能になります。結局のところ、若手作家にはパトロンというか、買って支えるサポーターが必要だからです。
そして、結果的にある作家が成功したら、持っている作品の価値も上がり、購入者にも有益な資産として還元されます。アート投資とはいいますが、好きな作家・作品であれば、世界で売れるように応援しようというのが、基本的なスタンスとしてお勧めです。
内藤 とはいえ、誰でも就ける仕事ではないですね。信用第一で、いくら勧められても信用できないアートディーラーを通じて美術品を買わないでしょうし、顧客が納得する情報と知識、センスが求められます。過去に扱った作品の価値が上がるなど、実績作りも欠かせないでしょう。信用ビジネスであり、ハードな世界ですね。
ーーー作家・ギャラリストと顧客をつなぐ、アートディーラーという仕事。三井氏をはじめ、彼らのような存在がいることで、我々は有望な作家と出会えるというわけだ。
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内藤 忍(ないとう しのぶ)
株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事
東京大学経済学部、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。
大学卒業後、住友信託銀行に入社。
1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。
その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。
2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。
毎週発行する資産デザイン研究所メールは、購読者約12,000名。個人投資家の強い支持を受けている
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早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学などで講師を務め、雑誌、ネットでの連載コラムを担当。主な著書にシリーズ10万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ。「60歳までに1億円つくる術」「「好き」を極める仕事術」「丸の内朝大学マネーの教科書」「究極の海外不動産投資」など多数。最新刊は1月末に出版した「飲めて殖やせる 究極のワイン投資」。
三井一弘(みつい・かずひろ)
ミツイ・ファイン・アーツ代表
美術商、アートディーラー
NBS Chapman University校卒業。帰国後国内にて現代美術作家として数々の展覧会を開催。1997年オークションハウス・クリスティーズ(NY)に於いて開催されたイブニングセールで、ピカソ作「アルジェの女」が当時ピカソの最高落札価格にあたる38億円で落札される衝撃的な瞬間に立ち会う。その体験を機に美術商に転身。
1999年、美術界で世界的権威を持つウイルデンスタイン画廊(NY)の東京店、ウイルデンスタイン東京に入社。イタリア・ルネサンス絵画やフランス絵画初期のフォンテーヌブロー派を始め、フランス・ルイ王朝のロココ、バルビゾン派、印象派。そしてジム・ダインなどの現代美術や版画、写真アフリカ・プリニティブ・アート(原始美術)と多岐に渡って取り扱う経験を持つ。
2014年からは東横イン元麻布ギャラリーに移り企画展の開催やアートファクトリー城南島のサポート。そして今春からアートディーラーとして独立を果たした。
現在は、これまでの経験を活かして古典絵画から若手現代アートまで幅広く作品を紹介。アートに興味を持つ初心者には現代アートや市場を解りやすく解説したアートセミナーを開催。アートファンのすそ野を広げる活動に力を注いでいる。