資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルをお招きして、資産運用に関する旬のトピックについて語り合う、本企画。6月は日本不動産投資アドバイザリーの竹内栄詞代表取締役社長をゲストに、「一都三県の中古一棟物件」および「未公開物件」について対談を行った。
不動産投資の経験者を中心に
一都三県の一棟物件が人気
内藤 本日はよろしくお願いします。竹内さんは、弁護士や税理士に太いパイプを持ち、とくに国内未公開物件の情報収集が得意で、投資家に直接紹介する独自のビジネスモデルを構築しているとお聞きしています。私も竹内さんを通じて一棟ものの収益物件を買いました。
竹内 こちらこそ、よろしくお願いします。私は大学を卒業してから約10年間、首都圏を中心にマンション販売・開発事業、戸建分譲事業を手がけてきました。主に取り組んできたのは、デベロッパーの仕入れ物件の案件化の仕事です。
例えば、戸建て業者が戸建ての物件を仕入れる時は用地を探しますが、当然ながら安く買わないといけません。私はその素地となる土地や建物を探して、安く買えるルートを探す業務に就いていたのです。いうなれば、デベロッパーが販売する物件を調達するのが仕事で、おのずと不動産取引の「川上」の情報に触れる機会に恵まれました。そういった経験もあり、その後は独立して、未公開物件を不動産会社に販売するビジネスを行ってきましたが、昨年には日本不動産投資アドバイザリーを設立して、個人に対する紹介も並行して行っています。この半年間で5物件ほど成約をいただきました。
内藤 物件を不動産会社に卸すのではなく、ダイレクトに販売するというのは、珍しいビジネスモデルですね。
竹内 鮮魚の流通にたとえるなら、海からあがった魚を漁港で買い付け、通常なら市場に流し、そこで町の鮮魚店が買うというような仕組みがあり、消費者の手に届く頃には中間マージン分の価格が上乗せされています。これは不動産も同じなのですが、私の場合は漁港で買った魚を直接売るわけです。本来であれば、中間に買い取り業者やリノベーション業者が入ってくるところを、川上から直で投資家につなげています。すると投資家は安く物件を買うことができ、利回りも高くなります。そういった仕組みを作り上げました。
内藤 お客さんは全国にいるようですが、どういったタイプの物件にニーズがありますか。
竹内 私自身は戸建てからマンション、区分など幅広く物件を揃えることはできますが、ニーズがあるのは首都圏、とりわけ一都三県の一棟中古物件です。3億円未満のケースが多いですが、人気があるのは8000万~1億円後半くらいでしょうか。一棟物件には5億円や10億円など、上を見ればキリがありませんが、初心者にはハードルが高すぎ。区分をやったことはあるけれど一棟ははじめてという方が目立ちます。会社員であれば高年収、かつ2000万~3000万円のキャッシュがあるという方がほとんどで、年齢は30代~60代までと幅広いですね。