ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

2017年 新春特別編 4/4

トランプ氏の閣僚人事案を見ていても、金融系にゴールドマンサックス出身者を採用するなど、現実的な面が見えます。過激な発言も指名を勝ち取り大統領選に勝利するためのマーケティング戦略だったのではないかとさえ思えてくるほどです。ビジネスの世界で交渉術の達人と呼ばれる人物なので、それくらいのこと計算ずくでやっていても不思議はありません。

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彼の人生における最後の目標は、歴史に名を残したいという名誉欲だと思います。ならば、大統領になれば大胆な政策を行う可能性もあります。

米大統領の任期は2期8年まで可能ですが、トランプ氏の場合4年後は70台半ばという高齢。健康問題もあるでしょうが、残りの人生を大統領だけで終えるとも思えず、家族のために引退するかもしれません。だからこそ、最初の4年で思い切った政策を打ち出す可能性は否定できないのです。景気がよくなれば国民も不満をためず、メキシコとの間の壁をつくるなど、行きすぎとも思われる策を実行しなくても非難を避けられるように。そんな考えがあるのではと私は推測しています。

株や為替、実物資産など何であれ、グローバルに打って出るという基本戦略はこれからも変わりません。アセットアロケーションの発想も重要で、どう資産を配分するのか考えたうえで、どこに投資をするのかという順番で考えていくセオリーも同様のこと。為替、不動産、金融資産それぞれに何%の資産を割き、どれだけの期間運用していくのか、マトリクスを使いながら考えていくのです。王道のやり方を変える必要はありません。

ハッキリとわかっているのは2017年に“資産運用格差”が起きることです。

個人型確定拠出年金やNISAといった税制を活用できる制度も知っているかどうかもそうですし、ドル高になり新興国から投資資金が流失して一部の国の経済が崩れるようになれば、同じグル―バル投資をしていても、どこに資産を持っているかで差が出ます。二極化のなかでも自分の資産をなるべくマイナスにならないところに振り向けるための情報収集が求められますから、皆さんも“学び”を忘れず行動につなげてください。

私自身、昨年の運用状況は悪くなく、国内では不動産の供給が少なく欲しい物件に巡り合えませんでしたが、海外では魅力的な物件を買えたり、太陽光発電など、新たな投資を始めることもできました。実りある一年だったと思います。

今年も引き続き国内外を渡り歩きながら、価値ある投資対象があれば紹介していきます。引き続き、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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内藤忍

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