ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

NY不動産投資 最前線レポート 3/4

池田 ただし現状、NYの不動産はとても高額で利回りも低いといった側面があります。そこをどう捉えるかは、人それぞれなのでしょうが。

内藤 米ドル資産を持ちたい、価値が下がりにくい実物資産が欲しい、かつ家賃をもらいながら運用したいというなら、悪い話ではありません。富裕層向けの投資だと私は考えます。同じNYでもクイーンズやブルックリンだと、若干価格も安くなりそうですし。

池田 確かに、マンハッタンに比べると割安感があります。私が住んでいるロングアイランドシティは急ピッチで開発が進んでいるエリアですが、途上なエリアだと価格はまったく異なります。

エンリッチ 内藤忍 NY3−3

私の居住エリアがスクエアあたり1300ドルくらいだとしたら、車で3分ほどの未開発エリアは、町が完全にできていないので、1000ドルくらいです。そういった割安感を狙い買っている国内外の投資家もいますよ。コンドミニアムだとワンベッドのタイプで1億円ほど、利回りは4%にいくかいかないかといった水準です。

内藤 割安とはいえ、それほどはするのですね。

池田 私は兵庫県神戸市の生まれです。帰国した時は地元に戻り、明石市までドライブによく出かけますが、いまは駅前に高層マンションが建っていて、そこだって高層階は1戸1億円以上はするそうです(参考URLへ➔
)。誰が買うのだろうと思いますが、明石市でもそんなケースがありますから、NYなら億以上は当たり前のこと。昔と今では1億円の価値も異なります。40平米ほどのスタジオ――日本のワンルームマンションのような物件でもマンハッタンでは5000万円はします。

内藤 それに比べると日本の中古ワンルームは都心でも2000万円で買えますから、安いモノです。表面利回りは4%ほど出ます。

池田 マンハッタンだと利回りは3%を切るかもしれません。ブルックリンだと利回り1.8%という新築物件もありました。

内藤 そう考えると、利益の追求というよりは、長期安定の資産を持っておきたい、NYの不動産投資は、そういった方向けなのかもしれません。希少性の高い物件が欲しいとか、所有欲を満たす側面もあるでしょうね。

ーーー非常に高額で利回りも低いNYの不動産。しかしながら価値は下がりにくく、富裕層が長期で資産運用するのには向いているようだ。次回、2月の締めくくりでは、具体的な物件の事例を見ていこう。


池田将洋(いけだ・まさひろ)

Ikigai Realty パートナー 
大学時代サッカーで日本一になり、自身もプロを目指す。サッカー引退後は日本リクルート社に入社して、不動産業界を担当。リクルート退社後、ニューヨークに渡米、不動産会社に入社。2年目でトップ営業になり、3年後からは自身でも不動産投資を始め、パートナーシップでニューヨークに不動産ビルを所有。現在は、不動産会社 Ikigai Realty をパートナーと共に設立した

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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内藤忍

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