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不動産小口化商品 2/4

同じ不動産でもREITのような金融商品では節税対策にならず、対して、実物不動産は時価と評価額の差が大きいため、同額の現金を保有しているよりも、不動産に替えることで相続財産の圧縮効果が得られます。しかしながら、一部の富裕層であればビルやマンションを1棟まるごと買って相続対策をしながら賃料で収益をあげることはできても、資産に限りのある中間層には現実的な話ではありません。

エンリッチ 内藤忍 201703−2図1

エンリッチ 内藤忍 201703−2図2

内藤 相続税の基礎控除が引き下げられることで、課税対象になる人は増えるにも関わららず、相続税対策に有効な不動産投資を誰もができるわけではありません。それこそ、1棟を買うほど資金がなかったり、首都圏であればワンルームマンションですら数千万円単位。運営も大変ですし、融資=借金をしてまでするのは…という人はたくさんいるでしょう。相続に切実なシニア層であればこそ、リスクは避けたいはずです。

俊成 「アセットシェアリアング」では、個人では購入しづらい、好立地の高額な不動産を小口化することにより、1口100万円単位で所有できるようにしました。現時点では、原宿、元町ともに5口(500万円)からの購入になっていますが、それでも都心の不動産を買うことに比べると、金銭的な負担はかなり軽減することが可能です。

内藤 こういったビジネスを展開するためには、国交省管轄の不動産特定共同事業法が定める一定の要件を満たさないといけないと聞いています。

俊成 実物資産を小口で持てる仕組みを提供するには、事業者側が不動産特定共同事業の任意組合型の許可を国交省又は都道府県知事から得ないといけません。同法は、事業参加者(投資家)保護の観点から、不動産特定共同事業の健全な発達に寄与することを目的として、1995年に施行されました。具体的には、投資家が出資を行い、一定の許可要件を満たした事業者が不動産取引(売買、交換または賃貸借)を営み、収益を投資家に分配する事業を規制するものですが、弊社は2年半をかけ、2015年3月に許可を取りました。

内藤 許可の要件は「宅建業者であること」「資本金または出資の額が1億円以上」「不動産コンサルティングマスターなど事務所ごとに業務管理者を設置する」など、厳しい内容だそうですね。

俊成 デューデリジェンスと呼ばれる審査はとても厳しく、これをクリアするためには社内体制の再構築など負担が大きく、許可を取っている会社はまだ多くありません。上場会社で実際に商品を提供しているのも、現時点では我々を含めて数社にとどまります。

ーーー聞き慣れない「不動産小口化商品」という言葉。一体、どういった資産運用なのか、次回以降からひも解いていこう。


俊成誠司(としなり・せいじ)

株式会社インテリックス 執行役員/ソリューション事業部長
1979年生まれ。米国ピッツバーグ大学経済学部卒業後、証券会社にて上場企業やJ-REITの資金調達業務に従事。その後、東京証券取引所の新部署設置に伴い参画。海外投資家へのマーケティングや新商品開発を行う。今後の個人の資産形成における不動産活用の重要性を強く思い、リノベーションにより価値を上げ良質なストックを供給し続けるインテリックスへ2010年入社。2013年同社財務部長を経て2015年より現職。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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