資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルを招いて、投資談議に花を咲かせる、この企画。第4弾では、フォーランド リアルティネットワーク ジャパンの中尾孝久社長をお迎えして、フィリピン不動産投資について対談。なぜ、いまフィリピンなのか?
日本人不動産投資家が熱い視線を注ぐ理由とは?
内藤 人口が1億人を超え、コールセンタービジネスなど基幹産業も育っているフィリピンですが、不動産投資の観点から見ると、どうでしょうか。日本人がアジアでコンドミニアムを所有できるのは、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、カンボジア辺り。インドネシアやベトナム、ミャンマーでは、外国人の不動産の所有権は認められていませんよね。
中尾 その通りです。なお、シンガポールやマレーシアは既に物件価格が高騰しています。ところが物価水準が日本の3分の1~5分の1程度といわれるフィリピンでは、これらの国より格安で不動産を購入できます。周辺アジア諸国が目覚しい発展を遂げ、不動産価格も上昇していった一方、フィリピンは政情不安などから経済の停滞が続き外国資本の誘致が遅れたことで、不動産価格が安く放置されていたことも理由のひとつ。いまだ割安感は顕著です。外国人名義では土地付き一戸建てを購入することができませんが、コンドミニアムやコンドミニアム扱いとなるタウンハウス(コンクリート長屋)は外国人が本人名義で登録することが可能です。アメリカの植民地だった影響もあり、法律・契約面では英米基準でしっかりと整備された書面主義の国でもあり、外国人でも安心して不動産を所有できるといっていいでしょう。
内藤 アジアの不動産投資といえば、シンガポールは別格として、マレーシアやタイが有名ですが、伸び盛りのフィリピンは、魅力が大きいというわけですね。マレーシアは安定しているけど、今後大きな伸び代が期待できない、タイは、クーデーターなど地政学的リスクが伴います。一方、カンボジアは魅力があるものの、まだ物件の選択肢は限られています。フィリピンは投資対象として、ちょうどバランスが取れている。実際に、日本人の投資家は増えているのでしょうか。
中尾 これはフィリピンに限らず、アジアの不動産投資は、昔だと未経験者が目立ちました。ところが最近は、1棟もの物件を国内に所有している不動産投資家が、分散目的で購入するケースが増えています。年代は幅広く20代~70代ですが、コアは40代~50代といったところです。
内藤 日銀の金融緩和により歴史的な円高局面から長期的な円安局面にシフトするなか、フィリピンの通貨であるペソに対して円安が進めば購入物件の円建て価格は上昇し、為替差益による含み益も期待できます。リスク分散の意味からも、魅力があるということですね。
中尾 経済成長を伴う物価上昇もあり、フィリピン不動産価格の上昇率は年平均7%程度、さらに供給がまったく追いついていないことから、富裕層や海外駐在員が好んで住むマカティCBD(中心業務地区)内の高級コンドミニアムでは、空室率は5%以下です。これも、日本にはないメリットではないでしょうか。
ーーー割安感があり、今後のキャピタルゲインや低い空室率など、魅力だらけのフィリピン不動産投資。次回はさらに掘り下げ、物件エリアに注目してみよう。
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内藤 忍(ないとう しのぶ)
株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事
東京大学経済学部、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。
大学卒業後、住友信託銀行に入社。
1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。
その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。
2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。
毎週発行する資産デザイン研究所メールは、購読者約12,000名と個人投資家の強い支持を受けている
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早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学などで講師を務め、雑誌、ネットでの連載コラムを担当。主な著書にシリーズ10万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ。「60歳までに1億円つくる術」「「好き」を極める仕事術」「丸の内朝大学マネーの教科書」など多数。最新刊は「究極の海外不動産投資」(幻冬舎)
中尾孝久(なかお・ たかひさ)
フォーランドリアルティネットワークジャパン株式会社 代表取締役
1975年和歌山県生まれ。
大手投資会社を始め10年以上金融業界で為替、株式のリテール部門で活躍。その後、外資系証券会社のセールスヘッドを経て、2012年フォーランドリアルティネットワークジャパン株式会社取締役に就任。2014年同社代表取締役就任。
累計100本以上のマレーシア、フィリピン不動産セミナーの講師を担当。現地の最新情報を織り交ぜつつ、金融業界出身らしい独特の観点から海外不動産の魅力を分かりやすく解説するセミナー内容は、毎回好評を博している。