資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、新シリーズ。今回寄せられた疑問は「投資信託」について。インデックスファンドorアクティブファンド、選ぶべきなのはどちらでしょうか。ーーー
投資信託:インデックスorアクティブ、何が違う?
Q(質問者):金融資産はインデックス運用の方が良いという声を聞きますが、世の中の投資信託の多くは、インデックスではなくアクティブ運用という印象を受けます。なぜ、良くないものの本数が多いのでしょうか?
A(内藤):インデックス運用が良いのか、さてはアクティブ運用の方がお勧めか…常に業界内でも議論のあるトピックです。いわずもがな、投資信託であれば、インデックス運用とは、日経平均株価やTOPIXといった指数に連動する運用成果を目指す商品で、アクティブファンドはファンドマネージャーが株式、債券、その他有価証券などの銘柄、投資割合を決定し、運用を行います。インデックス運用は指数以上の成果は見込めませんが、アクティブファンドは運用担当者の手腕によっては、かなり大きなパフォーマンスを期待することができます。
ただし、ここ数年の動きを見ていると、機関投資家のトレンドはアクティブ運用からインデックス運用へのシフトが進んでいます。
アクティブ運用を完全に否定するわけではありませんが、金融商品を使った資産運用のコアになるのはインデックス運用であり、それを補完する役割としてアクティブ運用があるという位置づけで捉えています。
確かに、インデックスを上回る運用成果を長期に渡り実現している優れたアクティブファンドも投資信託の中には存在します。しかし、その数は投資信託のアクティブファンドの中では限られた比率にしか過ぎず、それを事前に見つけて選び出すのは、株式の個別銘柄以上に困難かもしれません。投資信託の取り扱い数は証券各社によって異なりますが、膨大な中から絞り込んでいくのは至難の業です。
では、そういった背景があるにも関わらず、アクティブ運用の投資信託の本数は圧倒的に多いのでしょうか。それは、金融機関の都合が優先されている可能性があります。というのも、アクティブ運用の商品はインデックス運用の商品に比べて、販売手数料や信託報酬を高く設定することができ、これを担う金融機関にとって収益性が高いからです。
すなわち、金融機関にとって収益性が高いということは、そのコストのツケは誰に転嫁されているのか…そう、個人投資家です。このように、アクティブファンドの本数が多い理由がわかれば、どちらの商品を自身のポートフォリオに組み入れるべきか明らかでしょう。