資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回のテーマは「スマートベータ運用」です。インデックス運用でもアクティブ運用でもない手法について、内藤氏が答えます。ーーー
インデックスでもアクティブでもない、スマートベータ運用とは?
Q(質問者):インデックス運用でもなく、アクティブ運用でもない「スマートベータ」という運用手法があると、かつて内藤さんのブログに書いてありました。一体、どんな運用方法なのでしょうか。
A(内藤氏):「スマートベータ」とは、インデックスを上回るリターンを目指す新しい運用手法のことを指します。おそらく4~5年前から機関投資家の間で導入が広がってきているようです。
インデックスを上回る運用目標という点ではアクティブ運用と似ていますが、最大の特徴は、人件費のかかるファンドマネージャーを使わず、その代わりに株主資本、キャッシュフロー、利益、配当といった定量的なファンダメンタルズ指標を使って評価を行い、銘柄選択していくこと。なお、スマートは「賢い」、ベータは「市場平均連動性」を意味していて、年金運用やETF(上場投資信託))などの連動指数として採用されているケースも多々あります。
他方、時価総額を使うことが一般的なインデックスは、株価が上昇して時価総額が大きくなると、組み入れ比率が高まります。ところが、これには割高になった銘柄をより多く買い、割安になった銘柄の組み入れ比率が低くなる問題があります。そんなインデックス運用の弱点を解決する方法として期待されているのが、スマートベータなのです。
日本の代表的な株価指数といえば修正株価平均型の日経平均株価、時価総額加重平均型のTOPIXがあまりにも有名ですが、スマートベータは時価総額以外の基準を重視して構成銘柄や組み入れ比率を決めているのが特徴です。