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【43】好成績の海外ヘッジファンドはお買い得?

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回の質問は「海外のヘッジファンド」について。好成績の商品があるということですが、果たして投資すべきなのでしょうか。ーー

好成績の海外ヘッジファンドはお買い得?

Q(質問者):運用成績が10%以上という海外のヘッジファンドを紹介されました。好調なパフォーマンスは過去何年も続いています。このような商品に投資しても良いのか? 内藤さんの考えを聞かせてください。

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A(内藤氏):海外には日本国内では見つけられないような素晴らしい運用商品があると思っているのかもしれませんが、それは幻想です。

確かに、高い運用利回りを長期間に渡って実現しているファンドは世の中に存在します。これは海外のファンドだけではなく、国内の投資信託でも探せば見つけることができます。

しかし、過去の運用成績が高いからと言って将来を保証する訳ではありません。多くのファンドは、長期的にインデックスを上回ることは難しいのです。

絶対利回りがプラスになっていたとしても、同じ時期のインデックスと比較しないと本当の実力はわかりません。過去データを冷静に分析することがまず重要です。

一般に金融の世界は「歪み」が小さく、特定の運用会社だけが特別な「錬金術」を持っているということはありません。高いリターンが実現すると、同じ方法で運用するライバルが登場し、超過リターンは短期間で消滅してしまいます。

また、海外のファンドの場合、信託報酬のような管理コストだけではなく、海外への送金コスト、解約時のペナルティ、為替手数料、口座管理料などが発生することもあります。

金融資産の運用でまずチェックすべきは「コスト」です。過去の利回りの数字だけに踊らされるのではなく、税金や費用を全て勘案して手取りで計算してみる。すると、思ったほどのリターンにならないことも多いのです。そういった点もしっかりとリサーチの上、投資すべきかどうかを判断することです。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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内藤忍

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