資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回の質問者は、複数の物件を所有する不動産投資家。規模が拡大したので個人ではなく、資産管理会社の設立を検討しているようです。
収益物件は資産管理会社を設立したほうが良い?
Q(質問者):不動産投資を2年前から始めて、現在複数のワンルームを保有しています。今後さらに投資を続けていこうと思っているのですが、個人で所有するより資産管理会社を設立した方が良いでしょうか。
A(内藤氏):不動産投資は個人で所有して、賃料や経費を確定申告するのが一般的ですが、ある程度投資物件の金額が積み上がってくると、資産管理会社を設立した方が良いケースが出てきます。
資産管理会社を設立し、その会社の名義で不動産を登記すると、個人所有から法人所有になり、投資家本人は資産管理会社の100%株主という立場に変わります。
資産管理会社を設立するメリットとしては、以下のことが考えられます。
まず、法人としての不動産投資になりますから、法人税を納税することになります。特に5年以内の売却の場合、個人は譲渡益の40%以上が課税されますが、法人で売却すれば税率を低くできるメリットがあります。
また、銀行からの融資も法人として借入をすることになれば、個人の仕事からの収入ではなく、不動産投資事業としての返済力をベースに借入をすることができるようになり、資産を大きく広げられる可能性があります。
さらに、相続の際も、個別の不動産物件ではなく、管理会社の株式が相続財産となります。物件の登記変更など、面倒な手続がなく、納税上も有利になるケースがあります。
一方でデメリットも見られます。法人を設立することになりますから、当初の設立費用と、継続的にかかる会社の経理・税務などのコストがかかります。
毎月の経理と決算書の作成などを税理士に依頼すれば、年間で30万円から50万円くらいの支出になりますから、それ以上のメリットがあれば、検討しても良いと言えます。
将来の不動産購入のプランによっても変わってきますので、物件を積み上げていく可能性のある人は、税理士などの専門家に相談するのが良いでしょう。