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【48】不動産の対象は居住用と商業用のどちらがお勧め?

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回は不動産投資を検討している方からの質問です。対象物件は居住用と商業用、どちらが良いのでしょうか。

不動産の対象は居住用と商業用のどちらがお勧め?

Q(質問者)::一棟ものの不動産を国内で購入しようと思っていますが、居住用と商業ビルのどちらが良いでしょうか。

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A(内藤氏):一棟物件は投資金額が大きく、通常はローンを組んでの投資となります。多くの人は居住用不動産を選びますが、その理由はテナントの安定性です。

居住用の不動産は、住んでいる人が景気変動などで、短期的に退去したりすることが少なく、商業ビルに比べて空室リスクを低く抑えられる可能性があります。

一方の商業ビルは、飲食店やブランド品を扱うようなお店になると、景気変動の影響を大きく受けますから、テナントリスクは相対的に高いと言えるでしょう。

例えば、リーマンショックのような不景気が到来しても、リストラや倒産にでもならなければアパートを出ていく人はあまりいないと思います。しかし、飲食店などは客足が遠のけば、経営に行き詰まり退店してしいます。不景気になって客足が遠のけば、空室のままになってしまうリスクは高いのです。

とは言え、商業ビルにもメリットがあります。ひとつは賃料のアップサイドの可能性、そしてもうひとつは、内装コストの負担が無いことです。

居住用の不動産では、新しいテナントの家賃が倍になったりということは、ありえません。しかし、商業ビルの場合は優良テナントが入れば、ビル自体の価値が上がって家賃も跳ね上がる可能性があります。

また、商業テナントの場合は、一般に退店する際の借り手に現状復帰義務があり、オーナーは内装工事コストを負担する必要がありません。居住用の場合は、テナントが変われば、内装費用はオーナー負担です。

このように、商業ビルには居住用には無いメリットがありますが、その分リスクも大きく、また投資価格も大きくなる傾向があります。

メリット、デメリットを比較した上で、どちらが良いかを判断することになりますが、いずれの投資対象にしても、立地の見極めが重要であることは言うまでもありません。

内藤 忍 (ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1999年にマネックス証券の創業に参画。同社は、東証一部上場企業となる。その後、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役などを経て、現職。著作は40冊以上。2015年には銀座に「SHINOBY`S BAR 銀座」をオープン。無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者が約47,000人という人気

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