資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回は不動産投資を検討している方からの質問です。対象物件は居住用と商業用、どちらが良いのでしょうか。
不動産の対象は居住用と商業用のどちらがお勧め?
Q(質問者)::一棟ものの不動産を国内で購入しようと思っていますが、居住用と商業ビルのどちらが良いでしょうか。
A(内藤氏):一棟物件は投資金額が大きく、通常はローンを組んでの投資となります。多くの人は居住用不動産を選びますが、その理由はテナントの安定性です。
居住用の不動産は、住んでいる人が景気変動などで、短期的に退去したりすることが少なく、商業ビルに比べて空室リスクを低く抑えられる可能性があります。
一方の商業ビルは、飲食店やブランド品を扱うようなお店になると、景気変動の影響を大きく受けますから、テナントリスクは相対的に高いと言えるでしょう。
例えば、リーマンショックのような不景気が到来しても、リストラや倒産にでもならなければアパートを出ていく人はあまりいないと思います。しかし、飲食店などは客足が遠のけば、経営に行き詰まり退店してしいます。不景気になって客足が遠のけば、空室のままになってしまうリスクは高いのです。
とは言え、商業ビルにもメリットがあります。ひとつは賃料のアップサイドの可能性、そしてもうひとつは、内装コストの負担が無いことです。
居住用の不動産では、新しいテナントの家賃が倍になったりということは、ありえません。しかし、商業ビルの場合は優良テナントが入れば、ビル自体の価値が上がって家賃も跳ね上がる可能性があります。
また、商業テナントの場合は、一般に退店する際の借り手に現状復帰義務があり、オーナーは内装工事コストを負担する必要がありません。居住用の場合は、テナントが変われば、内装費用はオーナー負担です。
このように、商業ビルには居住用には無いメリットがありますが、その分リスクも大きく、また投資価格も大きくなる傾向があります。
メリット、デメリットを比較した上で、どちらが良いかを判断することになりますが、いずれの投資対象にしても、立地の見極めが重要であることは言うまでもありません。